浦和−名古屋浦和に敗れ、肩を落とす名古屋イレブン=埼玉スタジアムで(佐伯友章撮影)
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名古屋グランパスは浦和に0−2で敗れ7位で終了。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権を取れなかった。J1残留争いでは、C大阪と新潟が残留を決め、神戸とG大阪がJ2降格となった。G大阪はJリーグ創設時からの10クラブの一つで、初のJ2となる。得点王争いは広島の佐藤寿人(30)が22ゴールで初めて輝いた。日本選手の得点王は2010年の前田(磐田)以来で6人目(8度目)。広島と2位の仙台に加え、3位に入った浦和が、来季のACLに出場する。
◆浦和2−0名古屋
苦難のシーズンをねぎらうサポーターの拍手は、ささくれ立った闘莉王の心の傷に塩を塗った。「あれで拍手のほうがオレの心の中では痛い。ブーイングしてくれたほうが、逆にね」。勝てば3位でACL出場権を獲得するはずだった浦和との最終節決戦。しかし終わってみれば、連敗で7位にまで転落した。シーズン得失点差は現体制では初となる5年ぶりのマイナス。「こういうシーズンを送って3位に入ったら、勘違いしてしまう」。慣れ親しんだ埼玉でJ1通算300試合の節目を迎えた闘莉王は、皮肉混じりに最終順位を噛みしめた。
今季を象徴する拙いゲームだった。前線の柱ケネディを腰の故障で欠き、ストイコビッチ監督はDFの闘莉王をFWに据える苦肉の策で、なんとか勝ち点を拾ってきた。ただ闘莉王1人に頼り切ってきたツケは、最終戦で如実に現れた。不安定な守備で失点し、それを取り返そうと焦れば焦るほど、攻撃は闘莉王めがけた単調なロングボールばかりに。闘莉王をよく知る浦和守備陣にとっては、逆に好都合だった。
永井は振り返った。「ワンパターンな攻撃で、トゥーさんに2枚も3枚もマークがつくと、何もできなくなっちゃう。最後はグチャグチャ」。藤本も自戒を込めて言った。「流動性がない。今年はこういうのが本当に多かった。采配は監督だけど、ピッチの中で僕たちがもっと頭を使ってやらないと」。どんなに闘莉王がスーパーマンでも、1人に頼ったサッカーには限界がある。しかしグランパスは攻撃の引き出しを増やすための練習にほとんど取り組んでこなかった。これはシーズンを通じた構造的欠陥だ。
ACL出場権獲得は天皇杯の優勝に可能性を残すが、クラブが最低限の目標と位置付けていたリーグ3位には、はるかに及ばなかった。重要な試合で惨敗を繰り返した2012年を「故障者が出た」「運が悪かった」で済ませては、進歩はない。この苦い経験を無駄にしないことが、来季V奪還の最低条件だ。 (宮崎厚志)
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