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事件
【トンネル内崩落】進入退避繰り返し 最後の遺体は22時間後
2012.12.3 23:52
雪が舞う中、夜を徹した懸命の救助活動も実を結ぶことはなかった。「進入退避。進入退避の繰り返し。非常にじれったい。焦燥感が募る救助現場だった」。笹子トンネルで救助活動に当たった東山梨消防本部の楠照雄消防長(60)は唇をかんだ。9人目の遺体が運び出されたのは3日午前6時20分。事故発生から22時間後だった。
噴き上がる白煙に逆走して避難する車、逃げ惑う人々。時折、爆発音が響いた。救助隊が到着したのは経験したことがない現場だった。「想定以上。規模が甚大」(楠消防長)。トンネル内はV字状に落ちた天井板が救助隊を阻み、死者が出た3台の車両まで近づくことはできない。
「天井板がいつ落ちてくるか分からないことが一番のネックだった」と塩山消防署の小笠原克也署長(57)。幾度も作業が中断される。救助隊が最初に目指したのは、生存していた中川達也さんのトラックだ。ハンマードリルでコンクリート板を破壊、カッターで鉄筋を切断する。この作業を繰り返し、ようやく16・8メートル先のトラックに到達する。トラックはコンクリート板3枚の下敷きになり、車体は半分ほどに押しつぶされていた。
救助活動中も次々と遺体発見の報が入る。「救助できず、非常に心残り。助けられなかった…」。地元消防隊員はつぶやくように話した。
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