被災マンション:8割賛成で取り壊し…法制審中間まとめ
毎日新聞 2012年11月05日 01時05分
大規模災害で大きな損害を受けたマンションを取り壊す際、部屋の所有者(区分所有者)全員の合意が必要な現行制度の見直しを検討している法務省・法制審議会の「被災マンション法」専門部会は、5分の4(8割)以上の賛成で▽取り壊し▽敷地売却▽再建−−を決議できる制度を盛り込んだ中間取りまとめを決定した。
取りまとめの内容を5日から1カ月間、インターネット上などで提案し、広く意見を募集する「パブリックコメント」を実施する。
部会は集まった意見を踏まえて議論を深め、来年2月の法相への答申を目指して改正要綱の作成を進める方針だ。
取りまとめではマンションが完全に損壊した場合(全部滅失)、敷地共有者の持ち分の5分の4以上の多数決で敷地売却を決められる。
マンションの財産価値が半分未満に下がったと評価できる場合(大規模一部滅失)も、区分所有者の5分の4以上の多数決で取り壊し決議ができ、さらに敷地共有者の持ち分の5分の4以上の多数決で敷地売却か再建を決められる。
法務省では、昨年3月の東日本大震災を受け、新たな大規模災害が起きた場合に備えた法整備を検討。被災したマンションの取り壊しを容易にして速やかな復興ができる法改正が必要として、今年9月の法制審議会に諮問していた。【伊藤一郎】