JAXA ウイルスでロケット情報流出か11月30日 12時34分
JAXA=宇宙航空研究開発機構の職員のパソコンがコンピューターウイルスに感染し、来年夏ごろの打ち上げを目指している新型ロケットの情報が流出したおそれがあることが分かりました。
JAXAによりますと、今月21日、茨城県つくば市の筑波宇宙センターに勤務する職員のパソコン1台が、コンピューターウイルスに感染していたことが分かりました。パソコンをネットワークから切り離して調べたところ、中に保存してあった情報が収集され、外部と通信を行っていたことが明らかになったということです。
このパソコンには、来年夏ごろの打ち上げを目指している新型の固体燃料ロケット「イプシロン」の仕様や運用に関する、一般には公開されていない情報が保存されていたということです。
このため、JAXAは、これらの情報が外部に流出したおそれがあるとして、パソコンがどのようにウイルスに感染したかや、ほかの職員のパソコンも感染していないか調べています。
JAXAは「今回のウイルス感染を重く受け止め、再発防止に向けて情報セキュリティの強化に取り組んでいきたい」としています。JAXAの筑波宇宙センターでは、去年7月にも職員のパソコンがウイルスに感染し、宇宙輸送船「こうのとり」の運用情報を扱うシステムのパスワードなどが流出しています。
打ち上げ予定の「イプシロン」とは
「イプシロン」は、JAXAが2年前から200億円余りをかけて開発している小型の固体燃料を使ったロケットで、打ち上げコストが高いことなどを理由に6年前に廃止された「M5(みゅーご)ロケット」の技術を受け継いでいます。
来年8月か9月ごろの打ち上げを目指して開発試験が進められていて、鹿児島県肝付町にある既存の発射施設で打ち上げが行われます。打ち上げ費用は、元のM5ロケットの半分の38億円程度に抑えられる予定で、コスト削減のため、打ち上げ前の点検作業をコンピューターで行う新しいシステムの導入も検討されています。
こうした技術は、場合によっては軍事用のミサイルの開発にも転用されかねないことから、仕様や運用に関する情報については徹底した管理が求められています。
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