福島のニュース

原発避難者情報届かず 衆院選・再建の思い託しづらく

東京都内の避難先で新聞を読む稲元さん。衆院選と同日選の都知事選に紙面が割かれ、福島の選挙情報は載っていない

 福島第1原発事故で福島県から県外に避難している有権者が、衆院選の県内選挙区に関する情報から隔離されている。避難先に情報が届かず、誰が立候補するのか分からない人も。候補者を紹介する選挙公報が着くのは選挙期間終盤で、避難先で不在者投票する有権者は、選択材料に乏しいまま投票先を決めざるを得なくなっている。
 福島県浪江町の無職延城百合子さん(50)は大阪市に避難している。住民票は移していないため福島5区の投票権を持つが、「新聞やテレビは関西の情報が中心で、福島5区の立候補予定者は一人も知らない」という。
 不在者投票するつもりで町選管から選挙公報が届くのを待っている。到着は13日前後。不在者投票の期限は15日で、数日間で投票先を決断しなければならない。
 「こんな状態で投票して何になるのかと思うが、投票しないのも無責任。浪江にいた時は候補者の人柄や政治姿勢を見て判断したが、今回は政党の政策で選ぶしかない」と語る。
 福島5区は浪江町のほか、富岡町など避難区域が集中する。有権者のうち約1万6000人が県外に避難している。
 富岡町から東京都江東区のアパートに避難した無職稲元浩幸さん(52)は「東京のメディアでは福島の選挙情報が入ってこない。インターネットで調べようと思うが、どのサイトを見れば候補者の主張を知ることができるのか分からない」と話す。
 町では総菜店を営んでいた。町は住民を5年間帰還させない方針で営業再開を断念。「生活再建には政治の力が必要だ」と感じた。不在者投票で意思表示しようと思っているが、「立候補予定者が誰かも分からない状態では投票権も行使しにくい」と嘆いている。


2012年12月03日月曜日


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