判決後の報告集会で喜びを語る坪井さん=30日午前、長野市の県教育会館 |
酒を飲んだ翌朝に酒気帯び運転で摘発され、懲戒免職になったのは処分が重すぎるとして長野市富竹の元中学校教諭坪井香陽(かよ)さん(43)が、県に処分取り消しを求めた訴訟で、長野地裁(山本剛史裁判長)は30日、「社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を乱用したもので違法」として、処分取り消しを命じる判決を言い渡した。
2006年に県や県教委が飲酒運転した職員、教員への処分を厳罰化して以降、初の処分取り消し請求訴訟。県や県教委の同様の処分に影響を与える可能性がある。
山本裁判長は判決で、酒気帯び運転した教職員を「原則懲戒免職(飲酒後相当の時間経過後に運転した場合は3カ月以上の停職)」とするとした県教委の処分基準について、「酒気を帯びていることについて故意または故意に等しい重過失がある場合に免職として、軽過失にすぎない場合には原則として停職としていると解するのが相当」と認定。坪井さんは飲酒後、6時間半の睡眠を取るなどし、酒気帯びの認識はなかったとして、「極めて軽率な行為だが、故意や重過失によって行われたとはいえない」とし、免職処分とする事情はないと結論づけた。
判決言い渡し後の会見で、坪井さんは「これ(判決)をスタートとして教員として気持ちを戒めていきたい」と述べた。一方、県教委は山口利幸教育長名で「主張が認められず遺憾。判決文を検討し、対応を決める」とのコメントを出した。
坪井さんは09年4月、酒を飲んだ日の翌朝に財布の紛失に気付き、遺失物届を出しに車で交番に行った際、呼気からアルコールが検出された。同年7月の懲戒免職処分を不服とし、県人事委員会に取り消しを申し立てたが棄却され、11年4月に提訴した。
訴訟で県教委側は、坪井さんの呼気から1リットル当たり0・3ミリグラムと多量のアルコールが検出されたなどとして、懲戒免職処分は妥当と主張していた。