社会・生活 週刊文春 掲載記事
THIS WEEK

エスカルゴや鴨のコンフィ!
どんどん進化する回転寿司

何皿食べる? Photo:PANA

 外食不況の中で、根強い人気の回転寿司。そこにも新しいトレンドがある。

 回転寿司評論家の米川伸生さんが注目するのは、グルメ系100円寿司。

「一般的な回転寿司屋は、あらかじめ下ごしらえした魚を使っていますが、グルメ系とは魚を客の目の前で捌いて提供するスタイル。しかもほとんどの品が100円。『がってん寿司』がはじめた『ダイマル水産』、『独楽寿司』がはじめた『まさのすけ本店』などがあります。味と質を落とさずになんとか低価格路線に参入しようという動きです」

 外食トレンドアナリストの佐藤こうぞうさんは、回らない回転寿司に着目。

「『元気寿司』が渋谷ではじめた『魚べい』は、回転レーンを使わない店。客がタッチパネルで注文すると、商品がレーンを通ってその客の前まで運ばれるシステムです。食材のロスと人を減らせるのが店側のメリットです」

 フードジャーナリストのはんつ遠藤さんはこうみる。

「一言でいえば、回転寿司のバラエティ番組化。『無添くら寿司』は寿司以外のサイドメニューを充実させ、天ぷらやうどんのほか、ラーメンも提供しています。ロードサイドの店舗はファミレス化が進んでおり、今後は少量の焼き立てハンバーグがでてきたり、サラダにこだわった店が登場するなんてこともあるかもしれません」

 ファミレス化と並び、2大潮流のひとつが寿司追求型。

「金沢発祥の『金沢まいもん寿司』は、ほとんどの商品が1皿300円以上と決して安くはありませんが、厳選した新鮮なネタを使い人気です。これらは単に『回転寿司』の形態をとって、入りやすさに重点をおいているだけで、一般の寿司店と変わらない中身を提供しています」(同前)

 一方で、回転寿司らしくない回転寿司も人気だという。

「これはラーメン店らしくないラーメン店『日高屋』がヒットしたのと同じ構図。小田原の『あじわい回転寿司 禅』はワイン、シャンパンなど酒の種類が多く、つまみも豊富です。回転寿司の格好はしていてもエスカルゴや鴨のコンフィ、生ハムやトリッパなどもある」(前出・佐藤さん)

 回転寿司業界だけに、ネタはまだまだ尽きない?

依光 晃宏

※この記事の公開期間は、2015年11月14日までです。

この記事の掲載号

2012年11月22日号
2012年11月22日号
中村勘三郎「危篤情報」の箝口令
2012年11月15日 発売 / 定価380円(税込)
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