【田中誠士】素人でも訓練すれば、プロ棋士のような思考回路になれる――。そんな研究結果を、理化学研究所や電気通信大などが発表した。訓練を重ねることで素人の脳内でも、プロが直感的に「次の一手」を導き出すときに使う神経回路と同じ部分が発達したという。
研究チームは、将棋の素人20人(20〜22歳、男性)に対し、計4カ月にわたり、縦横5マスの盤上で6種類の駒だけを使う簡略化した「5五将棋」で訓練した。訓練の前後で20人の脳が活性化する箇所を機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)で測定したところ、訓練後には、プロが直感的な一手で使うのと同じ神経回路が発達し、思考能力が向上したことがわかった。ただ、上達の程度にはばらつきがあり、訓練者の興味や真剣さによって回路の発達に違いが生じた可能性があるという。
チームは「素人でも一定期間集中的に訓練すれば、プロと同じ直感的思考の神経回路を発達させられる」と分析。その上で、プロの直感的な思考は特別なものではなく、地道な訓練によって養われたものと、結論づけた。
結果は11月28日付の米科学誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」に掲載された。
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