中央道トンネル崩落:「突然壁が崩れた」間一髪、難逃れる
毎日新聞 2012年12月02日 14時38分(最終更新 12月02日 16時24分)
山梨県大月市の笹子トンネルで起きた崩落事故。「突然壁が崩れた」「怖くてトンネルを通りたくない」。トンネル内で事故に遭った人は口々に恐怖を語った。
甲府市古府中町の山本勉さん(66)は息子の運転で甲府から東京に向かっていた。目の前で崩落が起きたといい、間一髪で難を逃れた。「20メートルほど先で、左右から崩れるように壁が崩れ、砂ぼこりが舞った。トンネルの半分近くの高さまでがれきで埋まった。前を走っていた白色の乗用車がぺしゃんこになり、火が出た」と声を震わせた。すぐに車を降りて逃げ、1時間ほど歩いてトンネルを出た。何の兆候もなく突然崩れたといい、「一歩違えば巻き込まれていた。もう怖くてトンネルを通れない」と話した。
妻、娘と東京に向かっていた長野県富士見町の自営業男性(50)は「天井が崩れて完全につぶれていた。車が下敷きになり、クラクションが鳴りっ放し。別の車が燃えており、煙が充満した」と振り返った。周囲の車同士で「避難しよう」と呼びかけ合った。トンネル内に「煙に巻かれるので避難を」というアナウンスも流れ、車を置いて逃げたという。
また、両親ら4人で乗用車で走っていた長野県諏訪市大和1の法人役員、井上保子さん(64)は「前を走っていたマイクロバスが急ブレーキをかけたので、止まった。4〜5台前で崩れた天井がV字形に垂れ下がり、車が下敷きになって燃えていた。あたりは黒い煙に覆われていた」と惨状を語った。