ドット絵における、質感表現講座
このページはドット絵の質感がどうしても伝わらない…とお悩みの方に少しでも参考になればと思い作成したものです。
あくまでも私の主観と経験によっての手法ですので、もっと良い表現方法や画期的なツールを使えばよりよい作品ができるかもしれません。
まずはモデルに登場してもらいましょう。
ほむら「……。」 |
今回はただいま人気上昇中、暁美ほむらさんにお願いしました。
ちょっと不機嫌そうな表情をしてらっしゃいますが、、きっと大丈夫です。
ほむら「……。」
尚、せっかくなので彼女のドットが出来るまでの過程を紹介いたします。
1.身体部の骨組を決める。ここである程度ポーズを決めておく。複雑な構図ほどこの作業は重要。
2.輪郭を決める。
3.身体部をおおまかに塗る。
4.光と影の方向を決めておく。
5.顔の詳細を描く。
6.衣装の大まかな輪郭を描く。
7.衣装の大まかな色塗り。
8.衣装の構造が複雑な場合は何個かレイヤーを重ねて詳細を作りこんでいく。
9.リボンや小物等があれば描く。
10.後ろ髪を最後に描く。(前髪と後ろ髪は別物として考えたほうが良い。)
finish.全体を見直しておかしいところを修正する。 1日置いてから見直したり、絵板に投稿して意見を聞くと客観的な見方がしやすい。
(結論: 顔が似てないと言われて凹む。)
※注 実際のほむらちゃんは ほむほむ〜 とか言いません。
1.濡れた素材の表現
水に濡れた素材というのは、概ね次のような特徴があります。
1.重くなる(水分を吸うので当然重くなります。)
えっ、そんなの絵を描くのに関係ないって? いえいえそれは大きな間違いです!
髪の毛や衣装等、風や揺れの影響を受けにくくなります。
アニメーションさせた場合は当然普段よりも動きのタイミングや大きさが異なります。
一枚絵でも重さを意識して描くのは重要です。
2.一般的に明度が落ちる(暗い色になる。)
濡れると黒っぽくなります。これは水を吸いやすい素材ほど顕著に現れます。
3.空気を含んでいる素材は収縮する。(小さくなる。または細くなる。)
布団のような素材は小さくなり、髪の毛先は細く見えるようになります。
また布等の衣装は身体に密着するためにボディラインが出やすくなります。
さらに衣装の性質によってはシワや弛み等の変形が濃く生じます。
4.光の反射が変化する
多少湿っている場合はコントラストは弱く、水分が多くなるにつれてコントラストが強くなります。
つまりコントラストの度合いで含んでる水分の量を調節できます。
5.透ける
物の素材によっては下地が透けることがあります。
一般的に薄い素材ほど、色が明るい(白っぽい)ほど、水を含みやすいものほど透ける傾向があります。
6.エロい…
では実際にほむらちゃんに濡れてもらいましょう…(いや、いやらしい意味じゃないですよ。決して…)
ほむら「……。」
ほむら「……。」 |
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まずは乾いた状態 |
というわけで しょん●り氏、 ye●氏 の要望により、スクール水着に着替えてもらいました。
ほむら「…。」(怒) |
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水に濡れた状態。 上と比較してどうでしょうか? |
実は水着という素材は、水に濡れてもあまり変化が出にくい性質があります。(ナンデストー)
まあ、普通に考えたらあんまり透けたり濡れて重くなったらマズイですものね。。
ただし、スクール水着は生地が安物だからなのか、水に濡れるとかなり黒くなります!(大垣様より指摘いただきました。)
このドットでは、水滴や水そのものの表現を除くと以下のテクニックを用いてます。
1.髪の毛を収縮させている。(さらに横の広がりを少なくして本来のフワッとした特長をなくしている。)
2.水着の光沢の変更。
それではほむらちゃんに元の衣装に着替えてもらいましょう。
ほむら「ほっ」 |
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そしておもむろに頭からバケツの水をぶっかけてみますね♪。
ほむら「えっ!? ちょっとまっ…」
バ シ ャ ッ … …
ほむら(……ぷるぷる……) (いつか殺す…) |
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2.風になびくスカートの表現
アニメーションを作るのにたびたび立ちふさがるのが、スカート(マントも同様)のなびくアニメーションである。
かといって静止したままではアニメーションとして成立してこない。
スカートとは、風になびくから浪漫があるんだ!!!
というわけで、ほむらちゃん 学校の制服に着替えるんだ…。
ほむら「……。」
はやくしろ!間に合わなくなっても知らんぞ!!
ほむら(どこの王子様だ……。)
あ、スカートはちょっと待って…
ほむら「えっ?」
ほむら「ちょっ…!!」 |
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まずはこの状態で初心者が 陥るミスを描いてみよう…。 |
失敗例1 |
これではスカートがどういう風になびいているのか分からない。 少々大げさでもでもスカートのなびきを表現する気持ちが大事なのだ。 |
失敗例2 |
このアニメーションはスカートのなびきを意識はしているが、どこかぎこちない。 これは4枚のアニメーションのうち、2枚目と4枚目を同じ絵を用いている為に起こる現象だ。 スカートや髪の毛のような素材は多少めんどくても同じ絵の使いまわしは避けたほうが無難だ。 |
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失敗例3 |
右から左へスカートがなびいているのは分かる。 だがスリットの入っているスカートはこんな風車のような回転は実際しない。 (スリットの無いスカートの場合、この動きでよい場合もある。) |
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というわけで、スカートの表現には初心者が陥りやすい罠が潜んでいることが分かったかな、ほむらちゃん…。
ほむら「……。」
Act.1
では、実際にアニメーションを作ってみよう。
まずはドット絵として見栄えのする簡単な作り方を紹介するよ。
スカートの動き |
スカートの裾は右から左へ回転させるよう意識する。 ただしスリットは一緒に回さない。 |
スカートの動きを確認 |
スカートの動きを確認しながら主線を描いて動きを確かめてみる。 うまく右から左へなびくように見えればオッケー。 そう見えないときは細かく修正していこう。 |
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スカートに光と影を入れるとそれらしく見えないかい?
髪の毛や他の細かい服等を動かすとこんな感じ!!
Act.2
それではもう少しリアルにこだわった動きを追求してみよう。
今度は"風"をさっきよりも意識したアニメーションを作ってみる。
スカートの動き |
右から左に風が吹いた場合を、矢印で表現してみた。 今度はこの矢印に沿ってスカートのなびきを作るんだ! |
波の作成 |
裾のラインを決めたら、基点から終点にかけて波を作成しよう。 この際、基点側の波は小さく、終点に進むにつれて大きくなるように意識して描く。 この動きはロングスカートであればあるほどダイナミックな動きになる。 |
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スカートに光と影をいれてみる。
細かい部分を動かしてみて、全体のバランスを確かめてみよう。
3.金属の表現
ドラクエの世界ではアストロンという魔法がある。これは自らの身体を鋼鉄に変化させていかなる攻撃をもシャットダウンさせるというすごい魔法だ。
みんなが選ぶ「もしも魔法が使えたら」ランキングで1位を獲得したの魔法は、魔法少女の世界でもきっと超人気であるに違いない。
ほむら「……ねーよ。」
Act.1 金属
まず金属には、次のような特徴があります。
1.硬い
"硬い"と"堅い"は意味が違います。 硬いの反対は軟らかい 堅いの反対は脆い です。
金属は石やダイヤモンドのような堅さとは違う、硬いと表現できると思います。
ちなみに一般的に金属は引っ張りの強度が強く、圧縮に弱いです。
また、変形性があります。(つまり粘り強い)
2.特有の光沢がある。
金属には光沢があります。それも反射率の非常に高い光沢です。
光沢があると、一般的にコントラストが強く(明暗の差が激しく)なります。
光が当たる所はほぼ白に近い色、逆に影の部分は黒に近い色を配置すると良いでしょう。
では、ほむらちゃんの出番だっ!
ほむら「(¬_¬) …」
はい、露骨に嫌な顔は、辞めようね。じゃないとあの件をばらしちゃうよ!
ほむら「 ! 」
まずモノクロで表現
通常 モノクロ |
こちらは、今までのほむらちゃんをモノクロにしたものだ。 | メタル化 |
コントラストを強くして、特有の光沢を表現してみたもの。 左の絵と比べて硬そうに見えないかい? |
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さらに、こんな画像も用意してみる。
単色ほむら |
陰影を消した画像だ。 これを使ってさっきのメタルに色をつけてみるんだ! |
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そして……
メタル化画像 |
+ | 単色画像 |
= |
組み合わせ |
メタル化したものと、単色化したものをレイヤーで重ね合わせて適度に透過処理をする。 そうすると左のような画像が出来上がるわけだ。 今までとは違った印象が楽しめるねっ! |
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(応用)
セピア |
ゴールド |
氷 |
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by Annri