中央道トンネル崩落:天井のつり金具 打音検査をせず
毎日新聞 2012年12月03日 00時09分(最終更新 12月03日 00時25分)
中日本高速道路は2日の記者会見で、つり金具とトンネル最上部の結合部分の点検について打音検査をせず、目視のみで済ませていたことを明らかにした。さびやボルトの緩みなど重要項目にかかわる部分の点検態勢に不備があった可能性が浮かんだ。同社は3日から行う緊急点検ではハンマーを使って音を確認する打音検査を実施する。
同社の説明によると、作業員は天井板の上に乗り、足元のつり金具と天井板の結合部分は打音で検査した。しかし、つり金具とトンネル最上部の結合部分については「天井板から約5メートルの高さがあるため、目視しかしていなかった。双眼鏡による目視で十分だと思った」と釈明した。
コンクリートや金属劣化の検査には、最近ではレーダーや超音波の照射検査が用いられ、有効だとされている。しかし、笹子トンネルのような構造では、天井板上部に機械を持ち込みにくく、電源も確保しにくい。このため、レーダー検査などの導入は難しく、人手による検査に頼らざるを得ないという。専門家は「安全維持や管理を徹底しようとすると、人手がかかりコストもかさむため、なかなかそこまでできないのが実情だ」と指摘する。【松谷譲二、沢田勇】