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民主・藤井氏が引退「平和と民主主義つぶさないで」/神奈川

2012年12月1日

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集まった聴衆に平和の大切さを力説した藤井裕久氏=24日、相模原市南区

集まった聴衆に平和の大切さを力説した藤井裕久氏=24日、相模原市南区

 振り絞るような弁舌には、引退の決意が秘められていた。24日、藤井裕久氏はかつての選挙区、相模原市の駅前でマイクを握っていた。齢(よわい)80、戦争を知る最後の世代の政治家が、伝え残したかった最後の訴え-。

 後継の候補予定者の応援演説、口火は唐突に切られた。「私はどうしても、あるグループの大将が許せない。この人は偏狭なナショナリストだ」。支持者だけではない、千人を超える聴衆が静まりかえった。

 憲法の改正や破棄、国防軍に集団的自衛権の行使容認と、右寄りの姿勢を鮮明に打ち出す政党が勢いを増している。老政治家の訴えには、党として差別化を図るための批判にとどまらない響きがあった。

 戦後67年の出発点、負の記憶を呼び起こすのにためらいはなかった。

 「自分の国だけが偉いと思うのは間違い。日本には誇れる2千年の文化と伝統がある。だが、この100年、悪いこともした。中国を侵略し、韓国を併合した。アジアの人たちを殺し、どれだけ迷惑を掛けたか」

 回顧は自身の戦争体験に向かう。B29爆撃機が日本の戦闘機の体当たりで墜落した。その現場に藤井少年は、いた。

 「米兵の手足がちぎれていた。赤いマニキュアを塗った女性の腕もあった。戦勝国も敗戦国もない。一般国民はみな戦争の犠牲者だと、そのとき思った」

 経済、金融通でならした藤井氏の原点。7年前から、若手らを集め、近現代史を学ぶ勉強会を開いてきた。

 選挙カーの上、人垣を見渡し、語気はより強まった。

 「平和をばかにしてはいけない。平和だからこそ社会保障の充実や経済成長が言える」「ここには、私と反対の考えの方もいるだろう。どうぞ反対して結構。それが、民主主義だ」

 15分の演説を「戦後築いてきた平和と民主主義をつぶさないでください」と嘆願するようにして、終えた。

 候補予定者の名を口にしたのは冒頭に2度だけ、「平和」と繰り返すこと8度、「民主主義」は6度。野田佳彦首相の後見役、消費増税法成立を支えた党税調会長として、陣営が心配していた聴衆からのやじは、ついになかった。

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