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現場には「助けて」「助けて」という声

 ごっそりと崩れ落ちたコンクリートの塊が、車を押しつぶしていた。「助けて」「助けて」という声も。下敷きになった車から自力で逃げ出したとみられる女性は「友達が…」と泣き叫んだ。山梨県で起きた中央自動車道笹子トンネルの天井崩落事故。現場に居合わせた甲府市の夫婦が緊迫の脱出劇を振り返った。

 事故は2日午前8時ごろ発生。甲府市の男性会社員(37)と妻(37)は、河口湖に向かっていた。トンネル内で前の車のブレーキランプが点滅し急停止。慌てて走行車線から追い越し車線に移って急ブレーキをかけると、目の前に巨大なコンクリートの塊があった。車が押しつぶされているのが見え、トンネルの奥からクラクションがけたたましく鳴り響いていた。

 「逃げた方がいい」。身の危険を感じた夫婦は車を降りた。30メートルほど進んだとき「車のキーは、車内に置いて避難してください」とのアナウンス。恐る恐る車に戻った。さっきまではなかった火が燃え盛り、スプリンクラーが作動、辺り一面がぬれていた。

 鳴りやまないクラクションの中、男性とも女性とも分からない複数の声で「助けて…」と聞こえた。「どうしようか」。巨大ながれきを前に立ちすくんでいると土ぼこりの中から、はだしの若い女性が歩いて現れた。

 口の辺りから出血し、手足にもやけどや切り傷があった。服もぼろぼろで、体を震わせ、その場にうずくまる。「他にも誰かいるの?」。夫婦の問い掛けにも「彼氏が、友達が」と繰り返し、泣き叫ぶだけ。妻は女性に自分のブーツを履かせ、一緒に歩き始めた。

 女性は疲労が激しく、途中でトンネル内に停車していた大型バスに乗り込み介抱した。しばらくすると、煙が迫る。「ここも危ない」。バスを降り、再び歩いた。

 「消防が助けてくれるかな」と女性を励ましながら進むと、後ろから逃げてきた1台の車が乗せてくれた。女性はその後、病院に搬送されたという。

 長野県塩尻市の会社員鈴木智博さん(37)も、崩落現場に差しかかる直前で難を逃れた。車内で一緒にいた妻と2人の子どもは先に逃がし、トンネル内の緊急電話で通報、周りでぼうぜんとしている人たちに声をかけて一緒に逃げた。

 「子どもやお年寄りもいたがパニックにはならず、みな冷静だった」

 鈴木さんの妻も、周りにいた数十人と一緒に歩いて脱出した。「いつ火が追ってくるのか、いつ煙が来るのかと不安でたまらなかった」

 途中でぬかるみや穴があり、互いに「気を付けて」と声を掛け合いながら進んだという。(共同)

 [2012年12月2日23時41分]





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