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【斉藤寛子】気象庁が24時間体制で監視する47の活火山のうち、関東には内陸に五つ、伊豆・小笠原諸島に七つがある。内訳は、内陸が栃木県の那須岳(福島県境)と日光白根(群馬県境)、群馬県の草津白根山、浅間山(ともに長野県境)、神奈川県の箱根山。伊豆諸島では、伊豆大島、新島、神津島、三宅島、八丈島、青ケ島の六つ、小笠原諸島では硫黄島だ。
このうち半数にあたる那須岳、草津白根山、浅間山、箱根山、伊豆大島、三宅島の六つでは、地元自治体に火山防災協議会が設置され、ハザードマップも整備されている。さらに、火山活動の状況に応じて防災機関や住民のとるべき行動を5段階に定めた「噴火警戒レベル」も導入済みだ。
ただ、実際に噴火した場合にどう避難するか、実践的な避難計画を策定している火山はまだない。噴火を想定した災害対策はまだ緒に就いたばかりといえる。
実際に噴火した場合、周辺で避難が必要になるのはもちろんだが、積雪期の噴火で雪が一気に溶けたり、灰が降り積もった後に雨が降ったりすると泥流となり川下の地域を襲う恐れもある。
例えば、1704(宝永元)年の浅間山の噴火では、「諸国洪水」という記録が残る。火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長は、「(建設中の)八ツ場ダムが決壊すれば、東京や埼玉にまで洪水が及ぶ危険性もある」と指摘する。
火山灰の影響も見過ごせない。富士山が大噴火した場合、神奈川県内では全域で2〜50センチ、東京都もほぼ全域で2〜10センチ、千葉県の南東部と埼玉県の南部にも2センチの灰が降る、と富士山ハザードマップ検討委員会は予測する。
内閣府は、富士山周辺から南関東で1250万人に健康被害が出るほか、最大で108万世帯が停電、経済被害は1兆2千億円から2兆5千億円に上るとみる。
地震や津波のように、関東の火山では噴火に伴う被害想定はされていないが、噴火が小規模でも、火山灰が街に降り積もる可能性は高い。路面の降灰が0.5センチ程度でも車や自転車は坂道を走れなくなる。道路も、電車やバスなどの公共交通機関もまひし、成田、羽田の両空港も利用できなくなる可能性が高い。
関東には他にも、24時間監視対象の47の活火山に入っておらず、監視・観測体制がとられていない活火山がある。栃木県の高原山、群馬県の赤城山、榛名山の三つと、伊豆・小笠原諸島の海底火山を含む14の火山だ。
活火山の周辺は、火山であるがゆえに温泉や景勝地に人気が集まり、昔から観光地として栄えてきた。現在は温泉街や別荘地として栄えている場所が、かつての噴火による火砕流でできた地盤であることも少なくない。
藤井会長は「観光の恩恵を受けながらも、そこが火山であることを忘れないでほしい。地震を恐れ、防災の意識を高めるのと同じくらい、火山に対しても知識を持ってほしい」と話す。