崩落事故“複数の遺体を確認”12月2日 21時37分
山梨県の中央自動車道のトンネルの中で天井の板が崩れ落ちた事故で、少なくとも3台の車が巻き込まれ、消防によりますと、このうち1台のワゴン車から複数の遺体が確認されたほか、2人が重軽傷を負いました。夜に入っても消防と警察が救出作業を続け、ほかに取り残された人がいないか確認を進めています。
2日8時ごろ、山梨県の甲州市と大月市にまたがる中央自動車道上り線の笹子トンネルで、長さ4.7キロのトンネルの東京側の出口からおよそ2キロのところでコンクリート製の天井の板が崩れ落ちました。
警察と消防によりますと、ワゴン車とトラック、軽自動車の少なくとも合わせて3台が崩落したコンクリートの下敷きになったほか、火災も発生してトンネル内にいた観光バスや乗用車など30台に乗っていた人たちが一斉に外に避難しました。
事故の直後には女性2人が病院に運ばれ、このうち甲府市の主婦が頭などに一か月の重傷、神奈川県三浦市に住む銀行員の女性が足に軽いけがをしたということです。
消防によりますと、午後3時すぎには下敷きになって火災で焼けたワゴン車1台から複数の遺体が見つかりました。消防や警察によりますと、このワゴン車は多摩ナンバーのレンタカーで、当時、6人が乗っていて、このうち病院に搬送された女性が「一緒に乗っていた5人がどうなったか分からない」と話しているということです。
総務省消防庁や警察によりますと、下敷きになったトラックでは、運転していて車内に閉じ込められた男性から正午すぎに会社に救助を求める連絡があり、このトラックがトンネルの出口から1.7キロ入ったところで見つかりました。トラックの車体は崩れた天井板に覆われていて、消防隊員が中にいる男性に呼びかけましたが応答はなく、午後6時半ごろから救出活動が続けられています。
このほか、下敷きになった軽自動車1台も火災で焼けましたが、中に取り残された人はいませんでした。
現場には、崩落した天井板のがれきが長さ110メートルにわたって散乱し、重機を使って撤去が進められるなか、消防と警察が、ほかにもトンネルの中に取り残されている人や車がいる可能性があるとして確認作業を進めています。
事故がおきたトンネルは
中日本高速道路によりますと、笹子トンネルは昭和52年に開通し、今回の事故では厚さ8センチほどの天井板と呼ばれる板が崩落しました。
現場のトンネルについて、中日本高速道路は、3種類の点検を行っているとしています。
具体的には、▽2週間に5日の頻度で、車で走行しながら確認する「日常的な点検」、▽年に1度、3月から4月にかけてトンネル内の通路を歩いて確認する「目視による点検」、▽5年に1度、天井板の上にある換気スペースに入ったり、リフト車を使ったりして、目視に加えて金づちで叩いて金具やコンクリート部分に、ひび割れなどの異常がないかを調べる「詳細点検」を行っているとしています。
会社によりますと、天井板が崩落した現場付近では、9月18日から20日までの3日間にわたって「詳細点検」を行いましたが、異常は確認されていないということです。ただ、天井板を支えるつり金具がついている上の壁の点検については、目視だけだったということで、会社は、3日以降、同じ種類のほかのトンネルを対象に、点検を目視だけで終えていた部分についても、金づちを使って緊急点検を行うことにしています。
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