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天井板崩落 トンネルの構造は
12月2日 19時21分

天井板崩落 トンネルの構造は
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2日、山梨県の中央自動車道のトンネルの中でコンクリート製の天井の板が数十メートルにわたって崩れ落ち、複数の車が巻きこまれました。
中日本高速道路八王子支社の担当者は、「詳しい状況は確認中だが、天井板がこれほど広範囲に崩れる事故は過去に聞いたことがない」と話しています。

中日本高速道路の八王子支社によりますと、事故があった笹子トンネルでは、1枚当たりの重さが1トン余りある天井板が、数十枚単位で落下したとみられています。
こうした天井板がある構造のトンネルは、昭和52年ごろは一般的でしたが、近年はあまり見られないということです。
事故があった笹子トンネル上り線は全長4784メートルで、崩れた場所は大月側の出口からおよそ1.7キロの地点とみられています。
崩落した「天井板」は、片側2車線の路面からおよそ4.7メートルの高さに水平に設置され、半円状のトンネルの上部と車が走る空間とを仕切っています。
天井板は、1枚当たりの幅がおよそ5メートル、奥行きがおよそ1.2メートル、厚さが8センチから9センチのコンクリート製の板で、1枚当たりの重さは1トン余りあるということです。
天井板は道路の中央を境に左右に1枚ずつ連続して設置されていて、中央にある鋼材と、左右の壁に突き出ているコンクリートの台座に、それぞれボルトで固定されています。
今回の事故では長さ50メートルから60メートルにわたって、天井板が数十枚の単位で落下したとみられています。
天井板を支えている中央の鋼材は、3つの部分に分かれています。
まず半円状のトンネルの上部には長さ6メートルのレール状の鋼材がボルトで固定されています。
また天井板を載せている部分も、長さ6メートルのレール状の鋼材で、天井板はボルトで固定されています。
上下2つの鋼材の間は1.2メートルごとに板状の金具によってつながれていて、金具は上下の鋼材とそれぞれボルトで固定されています。
これら道路中央の鋼材には垂直に立てた厚さ10センチのコンクリートの板が隙間なく固定されて、天井の上の半円状の空間を左右に仕切る隔壁となっています。
この隔壁を境に、左右の空間にはトンネル外部からの空気と内部の排気とを分けて通し、換気を行っています。

天井板があるトンネル昭和50年代は一般的

中日本高速道路によりますと、換気のための空間を天井板によって設ける構造のトンネルは、笹子トンネルが完成した昭和52年ごろは一般的でしたが、近年は、トンネルの上部に換気用の機械を取り付ける構造のトンネルが増えているということです。
現在、天井板を設ける構造のトンネルは、同じ中央自動車道の長野と岐阜の県境を通る「恵那山トンネル」の下り線など、全国の12のトンネルにしか残っていないということです。
会社によりますと、笹子トンネルでは5年ごとに定期点検を行っていて、今回の現場付近ではことし9月19日から3日間、天井板の上の空間に人が入り、目視やたたいて音を確認するなどの検査を行いましたが、異常は見られなかったということです。
中日本高速道路八王子支社の担当者は、「詳しい状況は確認中だが、天井板がこれほど広範囲に崩れる事故は過去に聞いたことがない」と話しています。

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