シャープの奥田隆司社長【拡大】
シャープが台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業と協議していた海外3カ国のテレビ組立工場の売却交渉で、両社が大筋合意したことが30日、分かった。
売却対象はメキシコと中国・南京市、マレーシアの3工場で、譲渡価格は550億円程度の見通し。今年度中に正式な譲渡手続きを行う方針で、シャープは工場の売却益を元に財務状態の改善を急ぐ考えだ。
関係者によると、3工場のうち、早ければ12月中にもメキシコの売却手続きに入る。その後、南京とマレーシアの手続きを順次、進めるという。
北米向けの大型テレビを生産しているメキシコ工場は、すでに一部のラインで鴻海から受託生産を行っている。「鴻海が3工場の中で最も買い取りに意欲的」(シャープ関係者)な拠点だという。
価格については、売却後の構造改革に必要な経費を差し引き500億~550億円とする方向で最終調整している。約5000~6000人とされる3工場の従業員も、工場の売却に伴い鴻海に転籍となる見通しだ。