いじめ:苦しみは続く 卒業後に自死「分かって」 母、息子の思い語る /島根

毎日新聞 2012年11月27日 地方版

 自死を選ぶ前、テレビで発達障害の一種、アスペルガー症候群の特集を見た。他人とのコミュニケーションが難しい、冗談が通じないといった症状が当てはまった。

 息子は発達障害ではなかったのか。当時はそういった概念が社会的に認知されていなかった。そして学校という狭い世界で、うまく友人関係を作ることができなかったのではないか。恵理子さんは「もっと早く分かっていれば、違った対応の仕方があったかもしれない」と悔やむ。

 大津市の中学生の自殺を受け、子どもの自死やいじめの報道が多く続いている。

 一方、中学を卒業してから7年、圭輔さんの苦しみはリセットされず、最後に自死を選んでしまった。「在学中に(自死で)亡くなると、社会は大きな関心を示す。でも、たとえ在学中を乗り切っても、いじめによって心身のバランスを崩し、卒業後に命を絶つ者もいる。そのことを分かってほしい」。恵理子さんの訴えは、静かに広く、社会に向かっていた。

 ◇要因最多は健康問題

 昨年、国内の自殺者は3万651人に達した。警察庁と内閣府の統計によると、1人の自殺について原因を7項目のうち三つまで推定した場合、最も多かったのが健康問題(1万4621人)で、次いで経済・生活問題(6406人)、家庭問題(4547人)が続いた。

 学校問題(429人)は最も少なかったが、年齢別で見ると20歳未満は最多の187人が該当した。学校問題を細かくみると、進路に関する悩み54人▽学業不振50人▽学友との不和25人▽入試に関する悩み23人▽いじめ5人など。ただ、いじめと自殺の因果関係を認定するのは難しく、実際にはもっといる可能性がある。

 ◇「自殺」から「自死」に、県が表現変更を検討−−来年度実施へ

 県は公文書などにこれまで用いてきた「自殺」という表現を「自死」に改めることを検討している。新たな自殺対策総合計画が始まる来年度からの実施を目指す。

 自殺という表現に傷つけられているとして、自死遺族からの要望を受けた措置。県内の自助グループ「しまね分かち合いの会・虹」代表の桑原正好さん(62)は「(自殺との表現は)亡くなった人や遺族の人権を傷つけてきた」と指摘している。

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