直接的な言いかた。

「二条君。そんな直接的な言いかたをせずに、もっと柔らかい言いかたをしたほうがいいよ」

そんなふうに言われたことが、何度かある。ほとんどが職場の人だ。たしかに、私は思っていることをダイレクトに言い過ぎてしまう傾向がある。

一時期、Aさんという男性と親しくなったのだが、その人がやけに私にくっついてくるので困ったことがある。一緒に食事をして、私が駅まで一人で歩いていこうとすると、

「俺も付き合うよ」

などと言って、くっついてくるのだ。これが妙に重荷だった。で、ある日、私は彼にこう言った。

「ベタベタつきまとわれても困るから、少し一人にしてくれないか」

……Aさんはそれ以来、ほとんど話しかけてこなくなった。

別の一時期、Bさんという女性と親しくなった。彼女はパソコンの操作が苦手で、ちょっと困ると、すぐに私に電話して訊いてきた。それがあまりにも続くので、イヤになって、こう言った。

「分からないことがある度に電話されると、すごくストレスです」

……Bさんもまた、私から離れていった。

私は決して人間が嫌いな訳ではない。ただ、あまりにも相手からの接触が増えてくると、どうしても心理的に負担に思えてしまう。それでこんな言いかたをしたのだが、それが相手にとっては「直接的な言いかた」に感じてしまうようだった。

私は何かを感じ取ると、それを「適確な日本語で伝えよう」と一生懸命になってしまう。自分の想いを「正確な表現で伝える」ことに必死になってしまい、それを言われた相手がどんな気持ちになるかまで、配慮が回らなくなる。本当は、

「あなたのことは嫌いじゃないけど、あんまりベタベタされると心が疲れちゃうんだ」

と言いたかったのに、

「つきまとわれても困る」

と言ってしまうのだ。言葉のニュアンスまで神経が回らないのだから、子供と一緒だと思う。

言いたいことがあれば、それをきちんとした日本語で表現する。それはたしかに大事なことかもしれないけど、そうすることによって、傷つく人が沢山いる。

我ながら、直すべきところが沢山ある人間だと思う。

3 Responses to “直接的な言いかた。”

  1. 安室怜二 Says:

    あれ?
    1件コメントがあったと思うのですが、無くなっていますね。

  2. 二条淳也 Says:

    安室怜二さん

    あまりにも批判的なコメントや、説教めいたコメントは、削除することにしています。

  3. 安室怜二 Says:

    批判的であったり説教めいていたとしても、それなりに時間と労力を費やして書かれたコメントを削除するのはいかがなものかと思いますよ。
    もし、自分の書いたコメントがいきなり削除されていたら、二条さんならどう思われますか?

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