日本で来月16日に行われる衆議院議員総選挙を前に実施された、政党支持率を問う世論調査で、自民党に次ぐ2位となった「日本維新の会」が29日、平和憲法の破棄や国防費増額などを盛り込んだ政権公約を発表した。今回の総選挙で第1党となることが確実視されている自民党も、憲法改正や軍隊の保有、国防費の増額などを柱とする公約を掲げていることから、総選挙後には自民党と日本維新の会による連立政権が誕生する可能性も取り沙汰されている。
日本維新の会代表の石原慎太郎・前東京都知事と、代表代行の橋下徹・大阪市長はこの日、公約を発表する記者会見を行い「賢く強い日本をつくるため『自主憲法』の制定が必要だ」と主張した。自主憲法の制定とは、過去の侵略戦争に対する責任を認め、軍隊の保有を禁じ、交戦権を認めないとした現行憲法(いわゆる平和憲法)を完全に否定することを意味する。これは、憲法を改正し「戦犯国家」ではなく「正常な国家」として再武装を図ろうという点で、自民党の改憲論と内容的にはほとんど同じだ。一方、現与党の民主党は「日本維新の会が自主憲法を制定するということは、戦後の日本の体制を完全に否定するということだ」と批判している。
日本維新の会はまた、憲法改正を通じ、首相公選制(国民投票により首相を選出)を導入するとともに、参議院(上院)を廃止する、という公約を打ち出した。一方、同盟国が第三国から攻撃を受けた場合、自国が攻撃されたと見なし、当該国を攻撃できる「集団的自衛権」の導入も盛り込んだ。また、国内総生産(GDP)の1%以内としている国防費の制限の撤廃も打ち出した。なお、自民党も集団的自衛権の導入や国防費の制限撤廃を公約している。
一方、日本維新の会はこの日、脱原発に向けた体制の構築を公約に掲げた。日本維新の会は「米国との協議などを経て、日本の核燃料の再処理技術を維持するか否かを決める」と主張した。また、橋下代表代行は「日本の兵器や、兵器関連技術の輸出は、日本の安全保障にも貢献するだろう」と語った。一方、石原代表は「核兵器を持つ国と持たない国では、発言権は比較にならない。日本も核兵器のシミュレーション程度は行うべきだ」と主張していたが、29日に打ち出した公約では、核開発の問題には言及していない。
領土問題について橋下代表代行は「竹島(独島の日本名)は明白な日本の領土だ。韓国や中国が先進国になるためには、(日本による)国際司法裁判所(ICJ)への提訴に無条件で応じるべきだ」と主張した。韓国政府は、独島問題をめぐる日本政府の提訴に応じない方針を打ち出している。日本維新の会はまた、尖閣諸島(中国名:釣魚島)問題をICJに提訴することも公約に盛り込んでいる。
一方、経済・社会分野について日本維新の会は、最低賃金制度の廃止や、消費税の地方税への転換を公約したほか、年金の財源を調達するための「特別相続税」も導入することとした。また、国会議員の給与を30%カットし、議員の数も30-50%削減するとした。このほか、環太平洋経済連携協定(TPP)=一種の自由貿易協定(FTA)=については、交渉に参加した上で、国益に反する場合は反対するとした。
日本経済新聞は、今月26-28日に実施した世論調査で、自民党の支持率が23%でトップとなった一方、日本維新の会は15%となり、民主党(13%)を上回った、と29日報じた。