2012衆院選 日本再生の論点
【第1回】 2012年11月28日 

【集中連載】
DOL独自アンケート調査(11月20日~22日実施)
解党決めた「国民の生活が第一」が支持率1位に
背景には“脱原発”と“維新への不信感”か

 次はどの政党が政権を担うことになるのか――。ダイヤモンド・オンライン(DOL)では、読者(20歳以上の男女)を対象に「2012年衆院選DOL世論調査」を実施した。その分析が終ってほっとしていたのもつかの間、27日夕刻に第三極の主役の座を巡り、新たなニュースが飛び込んできた。

 脱原発などをめざし、滋賀県の嘉田由紀子知事が結成し、産声を上げたばかりの「日本未来の党」に、小沢一郎代表率いる「国民の生活が第一」が、同党を解党し合流する方針を固めたというである。

 11月27日現在、14政党が乱立し、結果がまるで読めない混戦模様となっていたが、公示日をめざし少数政党の合従連衡→集約化がさらに進み、12月16日投開票の衆議院議員総選挙へと突き進むことになろう。ある程度、政党の集約化が進んでも、今回の選挙ほど有権者がどのような基準でどの政党・人物に投票してよいか、迷っている選挙はあるまい。

 そこで、有権者はどのような気持ちで投票日を迎えようとしているのか。ダイヤモンド・オンライン(DOL)では、調査期間2012年11月20日~22日で、「2012年衆院選DOL世論調査」を実施した。調査方法はインターネット調査。有効回答数816件。

 調査の前提となる政治・政党の状況はすでに変化しているとはいえ、政党乱立ばかりが目立ち、争点がボケるという状況の中で、各政党が何を選挙の争点とし、その争点設定によって、いかに選挙民を引き付けようとしているかを考えるヒントとなるだろう。

「国民の生活が第一」が比例投票先1位に
20~30代で多い「自民党」支持

 調査ではまず、「12月16日の衆院選の比例代表選挙ではどの政党に投票するか」を聞いた(政党名は11月19日時点)。最も多くの支持を集めたのは、嘉田由紀子滋賀県知事が結成する「日本未来の党」への合流を表明した「国民の生活が第一」(25.5%)となった。2位は「自民党」(22.0%)、3位が「民主党」(13.6%)、4位が「日本維新の会」(12.9%)、5位「みんなの党」(8.1%)、次いで「支持政党なし、わからない」(6.6%)となった。

 年代別にみてみると、20~30代で最も支持を集めたのは「自民党」(20代34.8%、30代28.6%)。20代では2位が「民主党」(15.2%)、3位が「日本維新の会」(13.0%)で、「国民の生活が第一」はわずか2.2%だったのに対し、30代では2位がともに「民主党」「国民の生活が第一」(13.3%)で並んだ。

 40代になると最も支持を集めるのは「国民の生活が第一」(20.9%)となるが、2位「自民党」(19.2%)とは僅差。しかし50代以上では、「国民の生活が第一」(50代29.7%、60代34.0%、70代31.0%、80代35.7%)が圧倒的に支持を集めた。この結果からは、年齢が上がるにつれて「国民の生活が第一」の支持が増えていることが分かる。

 前回、民主党が掲げたマニフェストは、いまや「国民の生活が第一」に引き継がれていると言っていい。消費増税を代表に、自民、民主両党の政策の違いが、あいまいになるにつれ、それに反対する意見を持つ有権者の受け皿となっているとも読める。また、インターネット調査の場合、自らアンケートに応えるとういう能動的な対応が必要なため、支持政党のはっきりしている人が回答した結果、「支持政党なし、わからない」の比率が低く出るという傾向もあるだろう。

「国民の生活が第一」支持の背景にある
「脱原発」「脱増税」「脱TPP」

 大手新聞各社やテレビ局などによる政党支持率調査では、過半数以上が「支持政党なし」、次いで「自民党」が支持を集めるものが目立つ。しかし当調査では、「国民の生活が第一」が最も支持を集めるという、大マスコミの調査とは異なる意外な結果となった。

 では、「国民の生活が第一」を支持する有権者はどのような基準で、同党を選んでいるのか、詳しく見てみよう。

 同調査では「(比例区で投票する)政党を選んだ理由、基準は何か」を聞いている。全体では「政策ポリシー、マニフェストの内容」をその理由とした人が41.8%だったのに対し、「国民の生活が第一」支持者では54.4%と13ポイント近くも上回った。

 またその具体的な内容についてみていくと、「衆院選において最も重視する政策」を尋ねた質問について、全体では「経済の成長戦略の策定と実行」を重視する人が24.9%で最も多かったのに対し、「国民の生活が第一」支持者では「原発・エネルギー政策」を重視する人が25.9%と最も多かった(全体では「原発・エネルギー政策」11.6%)。また、「2030年の総発電量に占める原発比率、政府のエネルギー・環境会議が示した選択肢(0%、15%、20~25%)うちどれを支持するか」を尋ねた質問でも、全体と「国民の生活が第一」では結果に大きな差が出た。全体では、原発比率0%を支持する人が44.7%に対し、「国民の生活が第一」支持者では79.8%に上る。

 このような傾向は、「TPP」「消費税増税」の賛否について聞いた質問でも顕著となっている。「日本がTPPに参加することに賛成か、反対か」を尋ねた質問では、全体は賛成49.6%、反対36.5%に対し、「国民の生活が第一」支持者では賛成14.0%、反対69.6%と反対が全体を30%以上も上回った。さらに「消費増税による社会保障改革に賛成か、反対か」の質問には、全体では賛成41.6%、反対46.6%に対し、「国民の生活が第一」では賛成7.7%、反対84.5%となった。

 自由記入では、実際に「国民の生活が第一」支持者からも「消費税増税反対、原発ゼロを掲げているから」(40代男性)、「明確に脱原発を表明しているから」(40代男性)という意見があることからも、同党が「反原発」「反TPP」「反消費税増税」を志向する有権者の受け皿として大きな支持を集めていると推測できる。

第三極中心の政党を期待するも
「維新の会」支持が伸び悩む理由は?

 それに対し、石原慎太郎前東京都知事の「太陽の党」との合流で“第三極”の最大勢力として注目の集まる「日本維新の会」は、「比例投票先」として4位の12.9%に留まっている。なぜ同党は支持を伸ばし切れていないのだろうか。

 同調査では「石原慎太郎前東京都知事が合流した日本維新の会に期待するか」についても尋ねている。その結果、「期待する」と答えた人は24.7%に対し、「期待していない」は63%に上った。その理由として、「橋下氏には期待していた。石原氏は言動が過激すぎるため信頼できない」(30代男性)、「石原慎太郎合流で橋下徹らしさが削がれることを危惧する」(50代男性)といった意見が目立つ。石原氏合流による幻滅が、第三極として核を担う勢いのあった同党の支持を伸び悩ませているようだ。

 しかし、有権者は第三極に対する期待をなくしたわけではない。「総選挙後の望ましい政権の枠組み」を尋ねたところ、「第三極など既存の枠組みによらない政権」を選択した人が42.7%と、2位の「自民党を中心とする政権」(26.4%)を大きく上回った。ただ、その理由についての記述をみると、やはり「日本維新の会」ではなく、「国民の生活が第一」に期待をしている声が目立った。

 その理由としては、

「小沢一郎が中心となって、本当の意味の“大同小異”が集う「大人の若い」塊り」(50代男性)
「維新を除いた第三極による政権」(70代男性)
「小沢一郎のカリスマ性に期待」(80代男性)

などが、挙がっている。

 実際、誰が次の首相にふさわしいかという質問についても、「自民党」の安倍晋三総裁(26.2%)と僅差(25.8%)で「国民の生活が第一」の小沢一郎代表が2位となった。第3位の野田佳彦現首相には10%近くの差をつけている。ちなみに「日本維新の会」の石原慎太郎代表は、7.2%で第4位だった。

「国民の生活が第一」と「日本未来の党」の合流によって、第三極が「日本維新の会」と「“脱原発”による新党」の2つの勢力に分かれつつあるいま、「日本維新の会」橋下徹代表代行による合流の呼びかけに応じない方針を示した「みんなの党」(政党支持率8.1%、第5位)が、どのようなの選択するのかも注目だ。

 投開票まであと3週間を切った。新しい第三極の結集は、「日本維新の会」とともに、有権者のもう一つの受け皿となるか。独立路線を歩む少数政党は埋没するのか。それとも既成二大正当である自民党、民主党に有利となるのか。各政党は合従連衡の意義と目的を、明確に国民に示すことができるのだろうか。

(ダイヤモンド・オンライン 林恭子)