OECD:経済見通しを下方修正-欧州や中国に金融緩和促す
11月27日(ブルームバーグ):経済協力開発機構(OECD)は27日公表した経済報告で、加盟国の成長率予想を下方修正した。「大幅な」世界的リセッション(景気後退)のリスクに警鐘を鳴らし、欧州中央銀行(ECB)や中国人民銀行(中央銀行)に金融緩和を呼び掛けた。
OECDの主任エコノミスト、ピエールカルロ・パドアン氏は半年ごとの経済見通し(エコノミック・アウトルック)で、「5年に及ぶ危機を経て世界経済は再び弱まりつつある」と指摘し、「大幅な縮小のリスクは排除できない」とした。
OECDは米国の今年の国内総生産(GDP)成長率を2.2%、来年は2.0%と予想。5月時点の予想(今年2.4%、来年2.6%)を引き下げた。ユーロ圏は今年がマイナス0.4%、来年はマイナス0.1%の見通し。前回予想はそれぞれマイナス0.1%、プラス0.9%だった。
パドアン氏は、米国で「『財政の崖』が回避されなければ、大きな負の衝撃で米国と世界経済がリセッションに陥る恐れがある」とした上で、「世界経済に対し、なお最大の脅威となっているユーロ圏」では、各国政府の取り組みは前進したものの、一部の国の債務の持続可能性をめぐる問題が世界経済をリセッションに突き落としかねない「連鎖的な出来事を引き起こすリスク」として存在するとした。
日欧中は追加緩和必要OECD加盟34カ国の成長率は今年、来年ともに1.4%の見通し。従来予想は今年が1.6%、来年は2.2%だった。14年の成長率は2.3%で、米国は2.8%、ユーロ圏は1.3%と予想。OECDが14年の見通しを示すのは今回が初めて。
パドアン氏は「ユーロ圏と日本、さらに中国とインドを含む一部の新興国には追加緩和が必要だ」と指摘。「深刻な下振れリスクが現実のものとなれば」、一段の量的緩和や「ドイツや中国など財政に余力のある」国による一時的な財政刺激を含む「さらなる支援策が不可欠になろう」との見方を示した。
日本の成長率については今年が1.6%、来年は0.7%と予想。債務の持続可能性に関して投資家を安心させるため、日本の政策当局は「より詳細で信頼し得る中期の財政再建計画」を打ち出す必要があると指摘した。
ユーロ圏ユーロ圏の主要国ではドイツの成長率が今年は0.9%、来年は0.6%の見通し。フランスについてはそれぞれ0.2%、0.3%の成長を見込んでいる。一方、イタリアは今年がマイナス2.2%で、来年もマイナス1.0%と予想。スペインもそれぞれ1.3%、1.4%のマイナス成長になる見通し。
OECDはイタリアについて、プラス成長に戻り、来年の総選挙後に投資家の信頼を得るためには、財政の立て直しと経済改革を進めるとしたモンティ首相の公約を堅持する必要があると指摘。リセッションが深刻化するスペインに対しては、銀行業界の再編を「迅速」に進めるよう勧告した。
原題:OECD Urges ECB, China Easing as It Cuts Global GrowthForecasts(抜粋)
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更新日時: 2012/11/27 19:00 JST