富山のニュース 【4月20日00時47分更新】

難聴疾患を目の動きで簡易検査 富山大医学部の伏木講師、十二町医員が開発

目の動きを観察する簡易な検査機器を見る伏木講師(右)と十二町医員=富大医学部耳鼻咽喉科
 富大医学部耳鼻咽喉(いんこう)科の伏木宏彰講師と十二町真樹子医員は19日までに 、突発性の難聴患者が難聴疾患を再発する可能性を、目の動きの観察で明らかにする簡単 な検査方法を開発した。この検査を臨床に導入することで、難聴疾患で受診した患者に初 期の段階で再発の危険性を伝えられるほか、生活指導などで重度の疾患への進行を防ぐこ とにつながる。

 伏木講師と十二町医員は、難聴の代表的な疾患である突発性難聴と急性低音障害型感音 難聴の患者で、1985年から2003年までに富大医学部耳鼻咽喉科を受診した133 4症例を調べた。患者は突発性難聴は50〜60代に多く、ストレスなどが原因で発症す る急性低音障害型感音難聴は30歳代が最も多い。

 受診患者のうち、5年間の経過確認ができる108例を詳しく調べた。すると、このう ち48・1%となる52例の患者に、平衡感覚の機能が低下する前庭障害も起きているこ とが分かった。伏木講師によると、前庭障害はめまいにつながり、その後、難聴疾患の再 発や、めまいと難聴を繰り返して徐々に聴力が衰えるメニエール病に進行する可能性があ る。108例のうち約1割がメニエール病を発症していた。

 調査で、難聴とめまいの疾患の関連性が裏付けられたことから、伏木講師らは主にめま い患者に対して行う前庭機能の検査が、難聴疾患の患者にも有効であると結論付け、難聴 患者向けに簡易な検査法を開発した。検査では、特殊なゴーグルを着けて真っすぐ前を見 ることで、眼球の微妙な振動「眼振(がんしん)」がどの程度起きるかを調べる。モニタ ーを通して眼振を2〜3分観察すると、正常か異常か判断できる。無意識に目が多方向に 動くなどすると異常だという。

 富大耳鼻咽喉科は19日までに、この簡易検査を臨床に導入した。伏木講師は「簡易検 査を実施することで、検査で異常が確認された突発性難聴の患者らに対して、再発の危険 性を啓発でき、ストレスを軽減する生活を意識させるなどの指導に役立つ」と話している 。


富山のニュース