敦賀原発:規制委が破砕帯調査 活断層なら廃炉濃厚
毎日新聞 2012年12月01日 10時43分(最終更新 12月01日 12時32分)
原子力規制委員会は1日、日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)の原子炉建屋直下にある断層(破砕帯)が活断層かどうか現地調査を始めた。調査は2日も行われる予定で、結果は10日に東京都内で開く会合で評価する。国は活断層の真上に重要施設を建てることを認めていないため、活断層と判断されれば、廃炉に追い込まれる可能性が濃厚だ。
規制委が現地調査するのは、11月2日に実施した関西電力大飯原発(同県)に続いて2例目。
敦賀原発は全国で唯一、敷地内を活断層「浦底(うらそこ)断層」が通り、1、2号機から約200メートルしか離れていない。浦底断層から枝分かれした複数の破砕帯の一部は、両号機の原子炉建屋直下を通っており、浦底断層と連動して動き、地面をずらす危険性が指摘されている。
調査団は、島崎邦彦委員長代理と外部専門家4人による計5人。原電が08年に浦底断層を活断層と認めるきっかけになった調査溝を視察し(図中[1])、破砕帯の位置を確認するために地面をくりぬいたボーリング調査の結果をチェックした。その後、2号機直下を通る「D−1破砕帯」を、浦底断層の近くに原電が掘った溝(同[2])で確認。残り(同[3][4])は午後に調査する。
破砕帯が浦底断層と連動して動く可能性は以前から指摘され、10年の旧経済産業省原子力安全・保安院の審議会でも専門家から「調査が必要」との意見が出た。だが、原電は「破砕帯に動いた痕跡は認められない」と活動性を否定。現地調査が行われないまま、昨年3月に東日本大震災が起き、保安院は同11月にようやく原電に調査を指示。今年4月に専門家を交えて現場を確認したところ、活断層の疑いが浮上した。
これを受け、保安院は7月に全国の原発を対象に総点検を開始。関電の大飯、美浜両原発、日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(いずれも福井県)、北陸電力志賀原発(石川県)、東北電力東通原発(青森県)に再調査を指示した。9月に発足した規制委はこの6施設を優先的に現地調査するとしている。
原電は調査完了時期を11月末としていたが、同月16日になって「調査が遅れている」として来年1月末に延期。一方で、規制委の島崎委員長代理は27日の事前会合で「最終報告を待たずに(規制委が)判断を下すことは当然あり得る」と原電の調査完了前でも結論を出せると強調した。