市の命名権:応募企業は一社もなし…泉佐野市
毎日新聞 2012年12月01日 07時49分(最終更新 12月01日 09時21分)
市の名称について命名権の売却先を公募していた大阪府泉佐野市は30日、募集を締め切ったが、応募した企業は一社もなかった。名称変更には市民の間で批判があったほか、名称変更で生じる約10億円の事務経費を自己負担しなければならないなど厳しい条件が設けられていた。一方、ホールや体育館の公共施設の命名権などには11件の申し込みがあった。
命名権売却は、財政難に伴い、税以外の収入確保が目的。市が所有する有形無形の資産が対象で、市の名称や地名を企業名にする▽庁舎、市道などに愛称をつける▽庁舎に企業の広告を掲示したり、企業名の入った備品を使う−−などを想定。ただ、「市議会、住民の同意や大阪府との協議が必要」とし、契約期間は最低で10年などの条件を設けた。
11月の1カ月間受け付けたところ、公共施設の命名権に3件、庁舎内での広告の掲示や市役所で使う備品類の無償提供などに8件あった。いずれも市内に事業所のある企業で、総額で年間500万円程度の収入が見込めるという。選定委員会で審査し、来年1月に契約する。
千代松大耕市長は「不安を与えたことはおわびしなくてはいけないが、『一円でも多く税外収入を確保する』という思いは知ってもらえた」と話した。【山田泰正】