『聖アンナと聖母子』 ラファエロの聖家族
|
左側は、ラファエロの『The Holy Family with a lamb(聖家族と子羊）』1507年。 右側は、ダ・ヴィンチの『聖アンナと聖母子』、1510年です。 作品時期的には、ラファエロの方が３年早いようですが、ダ・ヴィンチはこの作品を完成させる１０年前より、聖母子の構図の構想を練っていたことは、以下の数点のダ・ヴィンチの素描が残されているので判ります。 ダ・ヴィンチの絵と比較しやすくするために、ラファエロの絵を鏡に映すように左右反転してみましょう。 ３人の人物の位置と、子羊を抱く幼子の構図は、偶然に似たものとなったとは思えません。 ラファエロはダ・ヴィンチのモナリザを模倣したように、この絵においてもダ・ヴィンチの『聖アンナと聖母子』の構図案を見ていたと推測できるのです。
推理１．特に理由なし。ラファエロは、聖アンナより聖ヨセフが描きたかったから。 推理２．ラファエロは、ダ・ヴィンチの素描、もしくは『聖アンナと聖母子』の構図案を見た時に、描かれている聖アンナを男性だと認識したため。杖も持っていたので聖ヨセフかと思いこんだ。 推理３．皆さんで考えてみて、こういう理由ではないか！という推理があればコメントしてね。
このラファエロの絵は、ダ・ヴィンチの絵がまだ素描か、構図案を練っている段階で先に描き上げたものと思われます。 そしてラファエロは、ダ・ヴィンチの『聖アンナと聖母子』の元となる絵を見せてもらった時、聖アンナを【男性】だと思いこんでいたのでしょう。 聖母子の側にいる杖をもつ男性といえば、通常は、聖母マリヤの夫の聖ヨセフ以外ありえません。 だから、ラファエロは聖ヨセフにしてしまったのではないかと思うのです。 もしくはダ・ヴィンチから、これから描こうとする『聖アンナと聖母子』の真相を告げられていたのかもしれません。 いずれにしろ、ラファエロの描いた『聖家族と小羊』は、ダ・ヴィンチの『聖アンナと聖母子』と関連性ある１枚といえるでしょう。
皆さんはどう思われますか？ |
こういうふうに推理しながら巨匠の作品を鑑賞するのって楽しいですね
単に好きで眺めていたのですが、想像力も発揮しなくては．．．．もっとお勉強します^^
2009/3/4(水) 午後 8:28
当時は、現代のように著作権なんてないですから、優れた画家の優れた構図を模倣するのは普通だったのですね。
ダ・ヴィンチは、師ヴェロッキオや先輩ボッティチェリの影響を受けていますし、ラファエロはダ・ヴィンチの影響を受けています。
レオナルド派と呼ばれる、弟子達も同様です。
模倣といっても、全くそっくりの【模写】や、微妙に違いを造った【ヴァリエーション】がありますが、ダ・ヴィンチの絵の謎を解く鍵は【ヴァリエーション】と【真作】との違いの中にあるのだと考えています。
2009/3/5(木) 午前 1:55
普通に見るだけなら、「名画」なだけですが、こうして謎を解きながら鑑賞するのはまた違った「楽しさ」がありますね。
ダヴィンチの素描だけ観たら、私もまさか後ろにいる人物が女性だとは思わなかったと思います。
2009/3/5(木) 午前 4:07 [ みんみん ]
岩窟の聖母にクレームがつき、描き直しを命じられたように、教会の意向にそわなくては生きていけない時代。
自分の描きたいものを、描きたいままに描くことができない時代でした。
でも彼らは、描きたかったのでしょうね。
2009/3/6(金) 午前 1:50
最近ラファエロについて勉強していてこのページにたどり着きました。みのるさんの記事をどれも感心しながら拝見しています。
今回の記事を大学のレポートの参考資料とさせていただきいと思っております。よろしくお願いします。
これからも楽しみにしております。
2011/12/8(木) 午後 0:01 [ my0irene3 ]
myOirene3さん、ようこそ。
最近、副業をはじめて忙しくてブログ記事の更新を怠っておりますが、何かご質問でもあれば気軽にコメント残していってくださいね。
2011/12/13(火) 午後 0:04