東北電力:値上げせず「今はギリギリでない」 中間決算、赤字縮小 /宮城
毎日新聞 2012年11月01日 地方版
東北電力は31日、13年3月期の通期業績予想と12年9月中間連結決算を発表。いずれも前年同期比で赤字幅を大きく減らしており、海輪誠社長は電気料金値上げについて「被災地の復興を妨げることは回避したいので、ギリギリまで見極めたいが、今はまだギリギリの状況ではない」と、現時点での値上げ見送りを表明した。
通期の業績予想では、最終(当期)損益が1000億円の損失で、前年同期比で赤字幅を1319億円減らす見込み。人件費削減や支出抑制を行った一方、火力燃料費などの増加が響いた。中間決算は368億円の最終損失で、前年同期比で赤字幅を714億円減らした。赤字が続いていることから、配当は3期連続見送りとなった。海輪社長は経営状態を「昨年度の『土砂降り』に比べると弱まったが、雨は相当に強い」と例えた。
値上げについては、自己資本が09年度末と比べて4割減少していることを受け、海輪社長は「資金調達が滞るなど電気の安定供給に支障を来す事態が想定される場合には、料金改定を含めたあらゆる選択肢を検討していかなければならない」として、今後については含みを残した。
海輪社長は、値上げは決算発表時だけでなく、需給状況などを見極めて随時判断するとの認識を示し、目安として、社債の格付けが下がり資金調達に影響が出る場合や、今期末で約11%とされる自己資本比率が10%を切った場合を挙げた。
また、31日の原子力規制委員会で原子力発電所事故の避難範囲が30キロに拡大されたことを受け、再稼働の停止を事実上求めることができる安全協定の対象自治体を、女川原発の立地自治体である女川町、石巻市以外の30キロ圏内にある南三陸町や東松島市に拡大することについては、否定的な見解を示した。【山越峰一郎】