練習中に笑顔で頭を抱える玉田=トヨタスポーツセンターで
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名古屋グランパスの元日本代表FW玉田圭司(32)が来季もチームに残留することが確実になった。今季で2年契約を満了する玉田に対し、クラブは29日までに単年での契約延長を打診。玉田も残留を第一に考えており、両者の方向性が一致した。条件面での詰めの交渉を残すが、今季年俸1億円から大幅ダウンとなる6000万円プラス出来高でまとまる見込み。チーム事情に理解を示した玉田は、すっきりとした表情でリーグ最終戦の勝利を誓った。 (金額は推定)
浦和との最終節決戦を前に、エースが来季のチーム残留を決断した。29日までに契約延長交渉を行った玉田は「名古屋を第一に考えているのは間違いない」と明言した。今季はここまでリーグ戦24試合5得点にとどまり、クラブ側は約40%減となる大幅減俸を提示。玉田は「それはしょうがない」とチーム事情に一定の理解を示し“銭闘”を避ける考えを示した。
高額選手が大幅減俸を飲まざるをえない事情とは、Jリーグが今季から導入したクラブライセンス制度だ。12年から3年連続で赤字を計上した場合、ライセンスを剥奪される可能性が出てくる。各Jクラブはこれを「2014年問題」と位置付け、経営健全化に躍起だ。グランパスも同様で、玉田を筆頭に優勝した10年末に高額複数年契約を結んだ選手の人件費がかさみ、10、11年に続き12年も赤字が確実。これ以上の赤字を回避するためにも、優勝を逃した今季は高額複数年契約を控える方針だ。
ただ、久米GMは「グランパスは夢を与えなければいけないクラブ。この冬は厳しい提示にならざるをえないが、その分インセンティブを増やす」と話しており、出来高で減額分を取り返す仕組みを設ける。
6月に左足首の手術をしたこともあり、玉田自身も「シーズンの途中に手術したことはなかった。本当に不本意な年だった」と振り返った12年。ただ「あと1試合残っているんで、満足な試合をできれば」と力を込めた。見据えるのは、内容と結果を伴った最終戦で逆転でのACL切符を手にすること。それこそが、来季の巻き返しの第一歩となる。
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