偽医師事件初公判 「全て間違いありません」と起訴事実認める
医師になりすまし、医療行為を行うなどした医師法違反や詐欺の罪に問われている無職・黒木 雅被告(43)の初公判が、30日に開かれた。
東京都内で医師になりすまし健康診断を行い、報酬を得ていたとして、詐欺や医師法違反の罪に問われている黒木被告。
30日午後3時からの初公判では、うつむきながら入廷した。
黒木被告は、小さな声でぼそぼそと話し、「全て間違いありません」と、起訴事実について認めた。
なりすましが発覚した当時、黒木被告の健康診断を受けたという人は9月、「いろんなことを聞くと、『関係ないから』って。『問診だから』、『体の調子はどうですか?』くらいで終わる。言ったことの対応もないし、ただ本を読むようなやり方」と話し、終始あいまいな受け答えをしていたという。
起訴状によると、黒木被告は2009年6月、都内の医療関係の人材紹介会社に偽造した医師免許証を提出し、医師になりすましたうえ、2010年6月から2011年10月までの間に、東京・板橋区の高島平中央総合病院で、健康診断を受けに来た人に触診や問診を行うなどして、給与262万円をだまし取ったとされている。
健康診断を受けた人は9月、「(医師でない人が問診を?)わたしも最初知らなくて、友達から(聞いて)『えー』って」と話していた。
偽の医師が健康診断をしていたことが発覚したあと、この病院は、黒木被告の診断を受けたとみられる人たちに対し、わび状を送付し、再受診を呼びかける事態となった。
黒木被告の父親は2012年9月、「スーパーニュース」の取材に対し、「(医者になったという話は?)ないよ。わたしに『医者になる』って言うことはできない。そういう医者になるような頭してないから」と語っていた。
そして、黒木被告の父親は、息子について、「声をかけるというよりも、『おい! そんなペテン師だったか』って。今後は、自分の道をしっかり歩くよう、気持ちを入れ替えろ」と、思いを打ち明けていた。
30日、あらためて取材すると、息子の初公判に際して、黒木被告の父親は「長く刑務所の中で頭冷やせ。少しはこたえるだろうし。弁護士には(量刑を)軽くしないでいいから、徹底して重くしてと」と語った。
「刑務所で反省しろ」と話す、黒木被告の父親。
黒木被告からは事件発覚後、2度、手紙が来たという。
黒木被告の父親は「『多くの人に迷惑をかけた』と書いてあった。1年か2年か、相当長く(偽医師を)やっているんだね。『これから一生懸命働いて償うようにします』と書いてあった。もし帰って来たら、刑が終わって電話がくれば、『まだ若いから、東北に行って、被災者のために働け』と言おうと思う。本当に恩返ししたいなら、(東北で)ただ働きでもいいから」と語った。
黒木被告は、逮捕後の警察の調べに対し、動機について、「医療行為はできないと思ったが、健康診断ぐらいならできると思った。生活費や子どもの養育費や交際費のためにやった、すみません」などと供述していた。
警視庁などの調べによると、黒木被告は東京のほか、神奈川・千葉・長野の13カ所で医師になりすまして健康診断をしたことがわかっていて、12月10日までに追起訴される見通しとなっている。