大阪・吹田市:市長後援企業に工事、入札せず発注 「市長とのパイプ突出」 社長、支援25年

毎日新聞 2012年10月31日 大阪朝刊

大阪府吹田市役所の屋上に設置された太陽光パネル=吹田市で、原田撮影
大阪府吹田市役所の屋上に設置された太陽光パネル=吹田市で、原田撮影

 ◇市役所でひそかに協議

 大阪府吹田市の太陽光パネル設置工事を巡り、井上哲也市長と関係の深い電気工事会社との不透明な随意契約が発覚した。市は契約の3週間前から、同社役員とひそかに協議を繰り返していた。同社社長は井上市長の25年来の支援者で、市庁舎の他の電気工事も長年にわたって受注している。市と特定業者の密接な関係に、不信の声も上がっている。【原田啓之、藤田剛】

 今年2月中旬。市役所の会議室に、市職員5人と同社の役員が集まった。複数の職員や協議録によると、職員が太陽光パネルの計画を説明し「工期的に可能か」と尋ねると、役員が難色を示した。「かなり厳しい。パネルの納品が問題だ」

 3月末までに工事を完了しなければ、市は基金を国に返還しなければならない。焦った職員は役員に「見積書の準備をお願いしたい。仕様書についても意見をいただきたい」と依頼。2日後、役員と下請け業者が同席し、職員に告げた。「パネルの納品は可能だ。製品を仮押さえしている」。3月5日、同社との随意契約が井上市長の決裁で正式に決まった。

 市内の複数の業者からは不信の声が上がっている。ある業者は「入札の時間はあったはずだ。複数業者による見積もり合わせもしておらず、おかしい」と批判する。

 井上市長によると、市長が吹田市議だった25年以上前から、社長は有力支援者だった。業界関係者の話では、市内の電気工事会社でつくる協同組合の理事長を約20年前から務め、業界の顔役でもある。昨年4月の市長選では、建設業など他業界が前市長を支援するなかで、井上氏を応援。別の関係者は「市長とのパイプの太さは突出している。当選時は鼻高々だった」と話す。

 市は随意契約の理由を、同社が市庁舎の電気工事を長年受注し、実績があるためと説明する。井上市長は取材に「(社長と)仕事の話は一切ない。職員に随意契約の指示もしていない」と述べ、社長は「市に協力しただけだ。市長を支援する見返りに工事の受注を求めたことはない」と話している。

 ◇別の入札2件、架空の見積書

 大阪府吹田市が、国の「グリーンニューディール基金」を活用したLED照明工事など2件の入札でも、架空の見積書を複数の業者に作成させる不適切な行為をしていたことが分かった。市長の後援企業名でも架空見積書が出されていた。ずさんな契約手続きが相次いでいる。

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