原発事故での住民被ばく対策試算公表11月30日 13時33分
原発事故による住民の被ばくを少なくするには、どのような対策を行うのが有効か試算した結果を原子力規制委員会が公表し、原発からの距離が5キロから30キロの範囲では、屋内退避だけの対策では、甲状腺の被ばく量が国際的な基準を超えるおそれがあるとして、放射性物質が放出される前にヨウ素剤を服用する必要があるなどとする結果が示されました。
これは、原子力規制委員会が先月公表した放射性物質の拡散予測に誤りが相次いで見つかるなどして自治体から批判が出たことを受けて、専門機関に依頼し、別の方法で試算したものです。
今回の試算は、全国の原発ごとではなく、110万キロワット級の原発1基から福島第一原発事故のおよそ半分の量の放射性物質が放出されたと仮定して、避難や屋内退避などの対策をどのようなタイミングでどのような組み合わせで行うと住民の被ばくを少なくするのに有効か解析しています。
例えば、原発から5キロ以内では、放射性物質の放出前に避難するケースが最も被ばくを減らすことができるとしています。また、5キロから10キロでは、コンクリート製の建物の中で2日間退避したうえで、その後、30キロの外に避難するのが有効だとしています。
一方で、特に子どもに影響が出やすい甲状腺の被ばくを考えた場合、5キロから30キロの範囲では屋内退避だけでは国際的な基準を超えるとして、放射性物質の放出前にヨウ素剤を服用する必要があるとしています。
今回の試算について、規制委員会は「厳しい気象条件で試算しており、基本的に全国の自治体で避難計画づくりに活用できる」としています。
しかし、今回の試算は、複数の原子炉から大量の放射性物質が放出される事態を想定していないうえ、個別の原発の試算ではないため、避難計画をつくる立場の自治体にとっては、どのように活用すればよいか不明な点も多く、規制委員会には、関係自治体や住民への丁寧な説明が求められます。
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