2011-11-03
■[作ってみた]動脈血と静脈血
いつも面白い佐藤健太郎さんのブログ有機化学美術館・分館でオゾンは体にいいのか悪いのか?という記事を読みました。
以下に少し引用します。
<引用>
ところが最近、少量の血液を採取し、オゾンを吹き込んで血を「浄化」した上で体内に戻すという、「血液クレンジング」なる健康法が登場しているのだそうです。テレビでも紹介されていましたが、採取したどす黒い血液にオゾンを加えると健康的な赤色に変化するところが映し出されていました。老化防止や、ガン・糖尿病などの予防に効果があるということですが、正直言って極めてうさんくさく感じます。オゾンを吹き込んでも過酸化脂質やアルデヒド類などが増えるだけで、体に悪いことはあってもいいことがあるとは思えません。血が赤くなるのも、単に酸素を吹き込まれてヘモグロビンの色が変わっただけでしょう。
</引用>
ヘモグロビンは赤血球に含まれる色素タンパク質の名前で,酸素を運ぶ役割を持ちます。
ヘモグロビンの色は酸素が結合するしないで劇的に変化します。
酸素の結合していないヘモグロビンの色は,高校生物の教科書的には暗赤色といいます。
一方,酸素と結合したヘモグロビン(これを酸素ヘモグロビンといいます)の色は鮮紅色といいます。
どれくらい違うのかというと・・・
左側が酸素ヘモグロビンの鮮紅色,右側がヘモグロビンの暗赤色。
この2つのビンは私が毎年の授業で生徒に見せているものです。
真剣な顔で「絶対に蓋は開けるなよ」と言って生徒をびびらせ,手に取らせてじっくり見せたあとに,笑顔で「実は絵の具だけどな」と,ネタばらししていますw
鮮紅色は赤と黄色,暗赤色は赤と黒の絵の具。
絵の具なので放置しておくと沈殿してきます。
もっとも血液だって放置しておくと血球が沈殿してきますけど。
多くの方はドラマなどの殺人現場で見る血の色をウソ臭いと思っているのではないでしょうか?
でも実際に動脈が切れるとあのような鮮やかな鮮紅色の動脈血が流れ出ます。
一方,私達が普段ちょっとした怪我で見る血は暗赤色の静脈血です。
なので暗赤色の方をリアルな血液の色と思うのかもしれません。
採取したどす黒い血液=静脈血にオゾンを吹き込んだら健康的な赤色の血液=動脈血に変わるのは,普通に考えればヘモグロビンに酸素が結合したことを示しています。
でもそれは特に何もしなくても肺を通り抜けるたびに私達の体で起こっている変化と同じです。
私はやったことありませんが暗赤色の静脈血にストローで空気を吹きこんでも同じように鮮紅色に変わるはずです。
佐藤健太郎さんも書かれているように,オゾンが余分の酸素原子を脂質やタンパク質に押し付けて(つまり脂質やタンパク質を酸化させて)残った酸素がヘモグロビンと結合することで酸素ヘモグロビンに変わっているのだと思われます。
オゾンによる血液クレンジングは脂質やタンパク質が酸化するのでかえって健康には悪そうです。
有機化学美術館・分館のコメ欄には「血液クレンジングでぐぐってみたのですが、赤血球が破壊されて溶血しているように見える」とあります。
これもオゾンで赤血球細胞膜の脂質が酸化されて壊れたと考えれば非常に納得しやすいですね。
もちろんこれは私が予想したことにすぎません。
でも科学的知見に基づいた当たり前の予想がこうなのですから,血液クレンジングの業者はそうではないという事実を根拠に基づいて主張すべきでしょう。
もしできれば,ですが。
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