美術館でいろいろ思うところがあったけれど、
そのことは、実際の学会やシンポジウムで討論させるべきことかもしれず、
ブログには記さないことにした。ぽろっと言うかもしれないけれど。
さて、エルミタージュの展覧会の最後を飾ったのは、
マティスの「赤い部屋」。別名「赤いハーモニー」。
この作品、検索すれば、すぐに見られます。
最初は青で制作されており、突如マティスが赤に塗り替えたことでも有名。
「青では十分に装飾的でなかった」、
「(青でも十分に美しかったが)、赤に変えてはるかに美しくなり」
とても喜んでいる、とマティス。
この塗り替える行為、草間彌生の創作も思い出す。
(確か、草間にはピカソもマティスも何でも来い、と意識した発言がある)
とにかく、どうして「それ」でなくてならなかったのか、
そのことは斯様にあっさりと語られる。
いつも作品と言葉の間で思考を巡らす役割の研究者としては、
これが悩ましく、立ち止まり、また立ち戻り、その中で解釈を連ねてゆく。
ここが楽しいのは事実だけれども。
まだ開催中の展覧会にまた足を運ぶ予定。
原稿から解放された後ほど、何かを吸収したい衝動に駆られる。
来年も東洋分野での大きな展覧会がある。
また博物館にお世話になるし、それもまた楽しみ。
秋と冬の光が交差する京都で。