再生の原風景 渡良瀬
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【放送芸能】「最強のふたり」 フランス映画で異例ヒット車いすの富豪と、貧しい黒人青年の友情を描いたフランス映画「最強のふたり」がヒットしている。9月1日に封切られて今も公開中だが、興行収入は現時点で、14億5900万円、来場者は119万人を超えた。大作以外の外国映画に観客が集まらない中、映画界では久しぶりに明るい話題となっている。 (小田克也) 日本では、さまざまなフランス映画が公開されてきた。中には海洋生物の生態に迫るドキュメンタリー「オーシャンズ」(2010年公開、ジャック・ペラン、ジャック・クルーゾー共同監督、国内興行収入25億円)などのヒット作もあるが、「最強のふたり」は質感が単館系の作品に近く、このジャンルの近年のヒット作「アメリ」(2001年公開、ジャン・ピエール・ジュネ監督、動員103万8000人余、国内興行収入14億6500万円)に匹敵するヒットとなっている。 配給元のギャガなどによると、公開時は四十八スクリーンだが、初日と翌日は計四百九十七回の上映中、二百二十回が満席になる好調な滑り出しで、九週目に百三十九スクリーンに拡大した。 気難しい富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)と、貧民街出身の陽気な黒人青年ドリス(オマール・シー)。趣味も性格も正反対の二人は、置かれている立場など気にせず、友情を育んでいく。その姿が格差社会の今日(こんにち)、共感を集めたようだ。 フィリップは体が不自由なことを同情されるのを嫌う。ドリスを介護者として採用したのも、遠慮せずズケズケものを言うからだ。一方のドリスは貧しさからくる気苦労を気づかれたくない。映画評論家の矢崎由紀子さんは「フィリップは障害を、ドリスは貧しさを他人から哀れんでほしくない。人間の尊厳を接点にしているのがうまい」と指摘する。 実話に基づく話だが、一つ間違えば「富豪と貧乏青年の友情などあり得ない」と客に敬遠され、反感を持たれそうな話でもある。矢崎さんは、それをあえて推し進めたプロデューサー(ニコラ・デュヴァル・アダソフスキら)の手腕にも注目したいという。 ■ 作品は、本国フランスで興行収入が歴代三位、昨年の東京国際映画祭で最高賞、ドイツやオーストリア、スペインで記録的ヒット、など実績を挙げてきた。だが主演のオマール・シーや、監督のエリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュはほとんど無名。 ギャガの宣伝担当は「試写を早めに全国規模で行い、口コミにつなげられた」と話しているが、予想外の大ヒットというのが本当のところだろう。 「東京国際映画祭で賞を受けるような作品であれば、百スクリーンで封切られてもおかしくない。それを四十八で始めたところ、常に満席となり、客は見たくても見られない状態になった。そうした飢餓感も人気に拍車を掛けたのでは」(映画関係者)との見方もある。 フランス映画は監督や脚本家の個性が強く、難解な作品も多い。ところが「最強のふたり」は、話が分かりやすく、世界中の人が見ても楽しめる「グローバルな作品」(矢崎さん)。その点も幅広く受け入れられた要因のようだ。 PR情報
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