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政治
【主張】維新の会公約 「大衆迎合」が気がかりだ
日本維新の会は自公両党による過半数を阻止し「強力な第二極」を目指すとしている。公約の基本方針に自主憲法の制定を掲げた点は評価したいが、主要政策の方向付けが明確になっておらず、極めて残念だ。
橋下徹代表代行は「『石原首相』を誕生させたい」としているが、石原慎太郎代表は「私はなるつもりはない」と述べている。政権をうかがうという以上、首相候補をはっきりさせなければ、有権者は判断できない。
焦点の原子力・エネルギー政策は危うさがつきまとう。「脱原発依存メカニズム」を構築することによって、既設の原子力発電を「2030年代までにフェードアウトする」とした。
徐々に消えてなくなるという意味だろうが、太陽の党との合流を決めた際の政策合意では、いったん引っ込めたかに見えた原発ゼロ政策を復活させた格好だ。橋下氏は会見で「30年代にゼロにすることは捨てていない」と語った。
公約は、電力市場の自由化や発送電分離などをエネルギー供給体制の強化策として並べているが、産業空洞化が進むのを回避するため、足元の電力確保に必要な再稼働には触れていない。
「脱原発」をめぐる大衆迎合的な姿勢は気がかりだ。基本政策をめぐる揺れは有権者の判断を惑わすだけである。
自主憲法制定は合流時に消えていたのが公約で書き込まれた。だが、首相公選制は首相を国民が直接選んで元首と位置付けるものだ。事実上の大統領制ともいえ、天皇制度とは両立しないことを認識すべきだ。
橋下氏は「憲法を変えるべきだというグループと、今のままでいいとするグループに分かれるべきだ」とも指摘している。
自民党は「衆参両院の各3分の2以上の賛成」とする憲法96条の改正要件緩和を重視している。そうした点で連携を図り、新憲法制定を目指す潮流を拡大してもらいたい。
消費税の地方税化を進める中で「地方共有税」を創設することも盛り込んだが、都市と地方の自治体間でどのように財政調整を行うのかなど具体的に示すべきだ。
石原、橋下両氏は政策の細部を決める必要はなく、「細かいことは官僚の仕事だ」と主張したが、それでは理解されないだろう。
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