以下は桂木 庄司さんの作品です。転載の際には桂木 庄司さんまでご連絡下さい。
  同級生の姉弟・愛の行方


すんなりとした足。割と長い方に入るその白い足はどうも男性を連
想させない。
祐介はそんな姿でいながら中学一年ですでに多くの先輩たちを実力
で凌駕するほどの長距離ランナーだ。
顔は並だが童顔のくりくりした目が結構女子生徒に人気がある。
ふたりっきりの教室で膨らみかけた胸を背中に押しつけて告白(い
や脅迫か?)してくる女子生徒もいる
ほどだ。少年は少女の中の母性愛をくすぐるフェロモンをぷんぷん
まき散らす。でも彼が望んでしているわけじゃない。
そんな大胆な女の子たちの嬉しい誘惑にはめげないぞ。ごめんよ。
彼には好きな人がいる。心の内に秘めた熱い情熱。



「ゆ、う、す、け〜〜〜っ」疲れきった陸上部長距離部門の仲間の
耳にいつもの元気いっぱいの声が飛び込む。彼女の肌の白さは血統
だろう。祐介がただひとり野望を燃やしている愛すべき姉。香奈恵
という存在感は異常に彼を興奮させる。というより母親の様なあの
態度。いつもいつもお節介なまでに世話を焼いてくる。
祐介には校庭の真ん中で仁王立ちで叫んでいる同学年の姉がおいし
い果実に見える。いっつも元気っ!!!
香奈恵、大好きだ。それだけが彼を支配する。
「な〜〜〜〜〜〜に〜〜〜〜〜〜?」
木陰で夏の日差しから逃れ、5000mを走った疲れを癒している
部員の仲間はやれやれといた感じで結構な距離のある姉弟のやり取
りを見ていた。まるで愉快な漫才だ。いつもどおりの風景。
目鼻立ちの整ったポニーテールの彼女は、毎朝毎朝弟に弁当を届け
ている。朝練に忙しい彼のための姉特製手作り弁当。父子家庭の長
女は健気で可憐だがそれだけではやっていけない。
たくましいのだ。
「がんばんなさ〜〜〜〜〜〜いっっっ」
「うぃ〜〜〜〜〜〜すっ」
短いチェックの制服からちらちら白いパンツを覗かせながら、いつ
もどおり愛姉弁当を振り回しエールを送った。
強烈な姉弟愛にうんざりする部員たちだった。
まあ、周りから見てとても仲のいい(ちょっと変な)姉弟である。
姉が同学年の弟のために毎朝弁当を作ることがいじらしく、入学か
ら3ヶ月もすると全校生徒1552人と教員48名の学校中で知ら
ぬものはいなかった。無論男子はこの可愛らしい新入生を大歓迎。
スカートから伸びる健康そうな太股が目にまぶしい。
朝恒例のアレはもちろんのこと、弟がさして美味そうでもない特製
ねーちゃん弁当をがつがつ食う姿もなんとも言えない愛嬌がある。
エネルギッシュな姉弟は先輩、友人、知人をめいっぱい拡げた。
弟くんの健全な淫望が11ヶ月離れた可愛らしい同学年の姉に降り
注がれていても誰の目からも仲むつまじい姉弟にしか見えないのは
二人の力強い存在感によるものが大きい。
姉はそんな弟のたくらみを知るどころかますます下僕化していく少
年に情けないものを感じてしまう。
姉は祐介をしっかりさせる義務がある。
えい、えい、がんばれ香奈恵!
活発なおねーちゃんは何をやるのも一生懸命だ。

そんな二人が家に帰るころはすっかり夕暮れ。姉は弟専用のマネー
ジャーのようになっていて部活の時も一緒にい事が多い。
彼女は弟といるのが楽しいのか、どこかの部に所属するわけでなく
陸上部にたむろっていた。
無論、邪魔するわけでもなく捻挫などで走れない部員たちと一緒に
器具を出し入れしたり、飲み物を作ったりした。
顧問の女性教員もこの気さくでいろいろ手伝ってくれる彼女を快く
思ってか、陸上部にしばらく存在してなかったマネージャー部員と
して引き受けてもらうことを要請した。
この学校は従来、必ずひとつの部には籍を置かなければならない。
いくつか父子家庭にある彼女の置かれている立場からの制約を理解
してもらった上でこの心優しい先生の申し出を引き受けることにし
た。全ては弟への期待をもつ健気な姉の優しさだった。
部員たちは、この小さいけどしっかりした仲間の入部をみんなで喜
んだ。もちろん悶々とする祐介もそれなりにうれしい。
だからヘロヘロの弟と香奈恵は長い道のりをいつも一緒に歩いて帰
るのである。
夕暮れに照らされたポニーテールのうなじが妙に色っぽく見えてし
まう。後ろから抱きしめてしまいたい。
弟思いの香奈恵の側で、祐介は熱い煩悩の狭間でひとり身悶えして
いた。息苦しい、なんでこの子は姉なんだ。
彼はいつの間にかひたすら走ることで欲求を解消しようとした。
入部から3ヶ月の間に彼は市内トップの座のまでのぼりつめてしま
った。恐るべき煩悩パワーというべきか。
姉はそんな弟を自慢に思った。
祐介の香奈恵に対する気持ちはまだしばらく理解されない。
つらい受難の日々は続く。




夏もいよいよ盛りを迎えた7月下旬。汗だくで帰ってきた二人はい
つもどうり順番でシャワーを浴びた。
祐介にとってこの可愛らしい姉を愛してしまいたい欲望はいよいよ
高まるものの、反面傷付けたくないのも確かだ。姉は自分のやりた
いことを捨ててまでこの祐介という弟を見守っていてくれている。
何が好きで陸上部のマネージャーなんてものになるものか。
そんな風になだめる。他人同士だったらどんなに楽だろう。
祐介は姉の下着の臭いをかいだり裸を覗くほどの度胸はない。
純粋に同じ年頃の女の子として見える姉の信頼を損ないたくない。
潔癖な彼はその純な心を陸上にぶつけた。身体がぼろぼろになるま
で走って、いっそのこと、この身を砕いて生まれ変わってしまいた
かった。好きなんだ、かなえ。
弟の若い性欲は満たされることなく祐介の中で鬱屈していた。
シャワーを浴び終えた姉が着替えて出てくるのを待って、祐介は浴
室に飛び込んだ。やるせない気持ちの彼は薄い陰毛の間から天に反
り返ったむき出しの己が分身を強く強く握りしめ、しごいた。
むなしい白濁がシャワーに混じってタイルの上に流れたのは、それ
から間もなくだった。
好きだ、すきだ、スキダ、ス、キ、ダ、か、な、え。
まだひくつくシャフトを握って、弟は姉を思った。
柔らかくしぼんでいく己から溢れた若い最期の一滴が、満たされな
いまま落ちていった。

今夜は豆腐、人参と椎茸、ゴボウと豚肉の炒め物。大嫌いなトマト
がある。あのふてぶてしい赤色が新鮮なつやと張りで輝いている。
香奈恵はあまり料理が上手じゃない。なんせ母親が死んでしまうま
で自分で料理をしようなんて思わなかった。
路上に頭から血を流して倒れていたのを近所のおばさんが見つけた
ケド、結局間に合わなかった。母さんはひき逃げにあって一昨年の
夏、還らぬ人になった。
母親の味を思い出しながら必死で中学一年生の女の子はフライパン
を握る。健気なエプロン姿が何とも可愛らしい。
祐介はそんな香奈恵に母親と恋人を重ね合わせる。
母さんが残しちゃ駄目っていっていたトマトに必死に食らいつく祐
介。姉が喜んでくれるならどんなに不味くったって。
何でもおいしいといってくれる弟が香奈恵は大好きだ。
見つめられて困ってしまう少年。妄想の中の微笑んでいる姉の姿を
そこに見て、余計に真っ赤になってしまった。耳までトマトみたい
に真っ赤になった祐介はうつむいて細長く切ってある人参を頬張っ
た。彼は大嫌いな人参をめいっぱい口に放り込んだ。
がんばってね、わが弟。



夏休みの終わる頃、ある男の子から電話で逢いたいと言われた。
陸上部の短距離に所属する彼はニキビっ面の笑顔がさわやかな少年
だ。先月から足の骨折を理由にしばらくお休みしていた事はよく知
っている。4組の塩野君。
まだ時間がかかりそうだってきいていたけど。
う〜ん、デートかなぁ、・・・・たぶん、ね。

「佐々木さん、こっち、こっち」
松葉杖の少年が器用に片手をあげて手を振っている。
待ち合わせ場所は駅前公園。彼は駅前の八百屋さんの息子で家も近
いし無理しないで済む。
「どうしたの?部活はまだ休むんでしょ」
部活の話は興味がないらしい。適当に「もうしばらくのしんぼうだ
よ」というと公園でも人が行き来する通りに面したベンチに腰掛け
る。松葉杖を脇に置く。
「ねえ、ここに座って。実は話があるんだけど」
「もう話してるわよ」
立ったまま答える。ギブスがあと半月もしたら取れそうだ。
可愛いなぁ、祐介のアネキって。ちょっと大人っぽいし。
「・・・・・キミには彼氏いる?」
(ああ、この子は私のこと好きなんだ・・・)
「私のこと、気に入ってくれているんだよね」
「うん・・・・」
「ごめんなさい、好きな人っていないんだけど私、誰ともそういう
関係になりたくないの。いいえ、あんまり興味がないの。ごめん」
あまりの単刀直入さに驚かされる塩野君の顔を見ながら、
「でもね、こうゆう事ってはっきり言った方がいいんでしょ。塩野
君もスポーツマンならきっぱりあきらめて」
図星を指されていきなり破局を迎えた恋に未練は不要。なんてあき
らめられればいいけど・・・・。
「・・・・・でも、友達なら」
「もう友達でしょ、じゃ、私夕飯の支度があるの。じゃね」
あっさり言われて何がなんだか。でも悪い気はしない。
なんかお姉さんっていいよね。ああやって祐介も可愛がってもらえ
るのかなぁ。(ややコイツにはMの気があるのかもしれない)
一人っ子の塩野にはとても新鮮な感動があった。
ふうっ。彼女の立ち去った公園にはため息をつうて肩を落としてい
る少年だけが残された。
きっとチャンスはあるって。がんばれ、塩野。
夕暮れにさしかかった太陽が彼の初恋の終焉を告げた。

祐介は落ち着かない。電話に最初に出たのは彼だった。目的なんか
すぐにわかる。ニキビでプチプチの顔でも女の子からはモテる。
その彼がわが愛おしいアネキに告白してしまうのは明々白々。
13歳とはいえ結構しっかりした性格の香奈恵が話しているうちに
そんな魅力に取り付かれて・・・・。うあああああああああああ。
悪い想像に取り憑かれてしまう悶々状態の祐介。
香奈恵のことを隅々まで知っているはずの弟はとてもじゃないが落
ち着くことが出来ない。蝉もうるさいし。錯乱しかける。
とすると、そんなに時間をかけないで戻ってきた香奈恵。
様子からちっともどうだったのか伺えない。
ヘタに「ねぇ。どうしたの?」なんて聞いていいものやら。
でも靴を脱ぐと
「塩野君ね、来月辺りから復帰できるかも知れないね」
意外な言葉が返ってきた。
あれ?アイツ何の用だったんだろう・・・・?
「彼ね、好きな人がいるんだって。でもね、ふられたんだって。だ
から会ってもそれは禁句よ」
ああ、なるほど。香奈恵ねーさま、よくやってくれました。ありが
とう。それでこそ俺の姉、いや・・・・なんだろう?
もう数度同じ事があると、ひとつふたつには、この愛しい姉にふら
れてしまった少年の話なんかも聞こえてくるものだ。
でもどうして、ここまで徹底的に否定するのかなぁ。
目の前の血を分けた姉の考えがわからない。祐介自身としてはそれ
は嬉しくない話じゃない。むしろ歓迎。だけど・・・・。
彼女があっさり断っていることは、ふられた少年たちからも聞いて
いる。ある少年は倒錯したように香奈恵の面影のある祐介に抱きつ
いてきて、涙を散々流していた。オイオイ。
不思議なもので弟である、という立場がそういった少年の警戒を解
いて素直にふられた事実を話してしまうようだ。
未練もあるのかも知れない。そんなことどうだっていいけど。
俺はどうなんだ、祐介。
彼はどうにも我慢できなくなって彼の人生において数度、自慰とい
うものをしてしまっている。自慰なんて言葉は知らないけれど、必
ず思い浮かべるのは姉の裸体。
小学5年のころまでは、一緒にお風呂に入っていた。
香奈恵に生理がきてから一緒にお風呂にはいることがなくなった。
祐介は取り憑かれたように香奈恵を思った。
そう言う意味では香奈恵の裸体も自然に思い浮かべられる。
ただ、彼は思う。ここ一年で急激な成長を遂げた彼女は身長こそ少
し低めだが、胸も豊かになり、時折ノースリーブのシャツからブラ
に包まれた若い双丘が覗くこともある。
こんなに身近にいながら彼女は彼の知らない魅惑的な香奈恵に成長
しつつある。
時折見せる沈んだ表情もとても大人びて見えるし、普段から、しっ
かりなさい。がんばりなさい。
といわれ続けてきた彼は同級生の姉の中に別の人格を見ている。
香奈恵というもう少し大人の女性を見いだしている。

12歳の祐介は近親相姦に禁忌を感じていない。
男性の生理現象である自慰は必要な過程であり、なさねば女性を抱
きしめその体内に放出するという夢と共に下着を汚してしまう。
健康的な男性があこがれる女性を思い、身体を熱くすることに不潔
であるというレッテルを貼るのは異常な話だ。
女性のメンスとどこが違うというのか。
しかし中学生の祐介にとって恋する相手は自分の姉であり、その大
好きな姉を思い浮かべて行為を行うことに背徳を感じている。
彼はそんなにしょっちゅう悪戯をしているわけじゃない。
香奈恵にはこんな姿は見せられない、そう感じている。
一緒に生活している姉から嫌われることを怖れているのだ。
このままの関係以上を求めてはいけないのかも知れない。
あくまで彼の禁忌は血縁関係にある姉を犯してしまうことについて
の危険性には捕らわれてはいないのだ。
シャワーを強くする。音にかき消される淫らな音。
香奈恵を抱きしめる。キスをする。じっとしている香奈恵に自分を
あてがう。迎える香奈恵は笑みを浮かべる。聖母のようだ。
あああっ。かなえっ、かなえっっっ。
達した。香奈恵の愛らしい体内に擦り付けるように、指は亀頭の割
れ目を激しくなぞり、溢れてしまう精液は次から次へと手の中か
ら落ち、タイルを滑るように流れていった。
シャワーの中にかき消される荒い息。
彼の思いは着実に進化を遂げている。自慰の中にある香奈恵の妄想
と共に。彼女をさわりたい。まさぐってみたい。
しぼみかけたシャフトは姉を思って再び熱く燃えだした。
少年のどん欲なまでの性欲は淫らな発想を生み出していく。
ひとつ屋根の下では苦痛と快感が幻想の中に入り交じっていた。



新学期にはいると香奈恵はとにかく忙しい。
朝起きると自分と弟の分の弁当を作る。同時に朝ご飯も。
父親は起きてくるとすでに支度されている食卓について黙々と食事
をする。疲労の色が濃い。
彼も帰宅するのは午前をまわる。忙しさでは父親は最も大変な時期
なのである。雑誌編集という仕事に就く彼は担当の雑誌を印刷に出
すまでが仕事だが、ここのところの人気上昇によって嬉しい悲鳴を
上げている。また新しい連載記事が増えたらしい。
この頃は泊まりがけも多い。
祐介はいつもぎりぎりだ。休み無しのトレーニングが彼の身体を癒
す間もなく駆り立てる。ほら、降りてきた。
二階に二人の部屋があって、鞄を担いだ学生服が雪崩のような勢い
で駆け下りてくる。
「おはよ」
「遅れちゃうっ」
いつものことだ。遅れたことがないのが不思議なくらいなのに、い
っこうに寝起きの悪さはなおらない。
彼は朝食を流し込む。いくら何でもお腹が減っては走れない。
「いってっ、きま〜〜〜〜すっ」ばたん。
父の箸が食卓に置かれる頃には玄関を飛び出していく。
弁当はこれから仕上げにはいる。卵焼きはまた失敗してしまった。
料理の腕はまだまだ改善の余地がある香奈恵だった。
躰にちょっとだるさを感じながら健気な13歳。
無理を承知で頑張っている彼女にはかなり荷が重い。

9月も半ばに入った。体育祭の準備なども本格的になってきた。
香奈恵が家に戻ったのはそんな日の昼過ぎ。
朝から具合が良くなかったけど4時限目に入って目眩がしてきた。
保健室で体温を測るなんて事は本当に久しぶりだ。薬品臭いのが余
計気持ち悪い。2つある白いベッドには誰もいない。
「生理の方は?」
「今月はまだです」
体温計をみた保健婦の先生は、熱があるから今日は帰るようにいっ
た。彼女が父子家庭である事実は見落としているようだ。
ふらふらして、足が宙に浮いているようだ。頭がくらくらと揺れて
いるようだ。はは、調子悪いなぁ・・・・もう、すこし・・・・。
ようやく辿り着いた家。
倒れ込むようにベッドに潜る。息が荒い。
そのまま目をつむり苦痛に耐えた。
こつっ、こっ。しばらくすると外に何かの気配を感じた。
がちゃ。
物音がした。えっ?
はっとした。ど、どろぼう?鍵をかけなかった?
頭が痛いのを無理して上半身だけ起こす。まだ帰ってきてから間も
ない。まっすぐ足音が近づいてくる。
階段を上がってくるのがわかる。
身がすくむ。こわい。こわいよ・・・。
鳥肌が全身に立った。頬が引きつる。ガタガタ躰が震える。
がちゃ。ドアが開く。
いやっ、ねぇ、こないで、助けて、ゆうすけ・・・・。
「・・・・ねーちゃん、大丈夫か・・・?って何やってるの?」
布団を頭からかぶっている小さな姉。
えっ・・・・?
そっと涙目になった顔を上げる。
祐介だ、ゆうすけ・・・・。
・・・・帰って、きて、くれ、た、ん、だ・・・・・・・。
目の前が暗転した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
気がつくと私はパジャマになっていた。
制服を着ていたはずなんだけど。
祐介が冷蔵庫にあった清涼飲料水の缶をふたつもってきた。
「ごめん・・・。アネキの服・・・・・」
真っ赤になった祐介が立ちっぱなしでほおずきのような顔をうつむ
かせる。
「そう。・・・・ありがとう・・・・」
なんでだろう?熱以上に顔が火照ってる。
私もあんなになっちゃったのかしら?
とりあえずのどが渇いた。
手を伸ばそうとすると祐介が渡してくれた。
冷えた缶がすこし手にはきつい。ぞくっとした感触に缶を落として
しまった。
祐介がそれを拾って改めてお台所から持ってきてくれたコップにつ
いでくれた。お互い顔を合わせないようにしながら。
「あっ、あのね、・・・さっき泥棒かと思ったの。だからね」
コップについた水滴が流れ落ちる。冷たい感触がのどを潤す。
弟の口元がかすかに緩んだ。
からになったコップを受け取る祐介。
「アネキ、泣いてた。そしたら急に意識失っちゃって。慌てて帰っ
てきたから驚かせたみたい、・・・・ゴメン」
次の瞬間、偶然にもお互いの目があった。
泥棒なんか来たら俺がやっつけてやるから、絶対に。
すっ、と顔を近づける祐介。潤んだ瞳、赤い頬。ちゅっ。
お互いの心音が聞こえるようだった。
時計の針の刻む音がちっ、ちっと静かに時を進める。
「ごめんね、香奈恵」
普段の弟からは聞き慣れない言葉。
まだ頭の中が混乱しているのかぼーっとしている少女。
唇が開く。
「ねぇ、あたしのこと・・・・好き・・・・?」
普段ではない、どことなく力無い、実の姉の言葉。
「・・・・・少し休まないと・・・ね」
コップと空き缶を手に取ると、私の言葉には応えずに祐介は部屋を
後にした。

柔らかくしっとりとしていた愛しい姉の本物の裸体。
涙をハンカチで拭った。
まずは着替えが必要だった。
彼は制服と一緒に、汗でびっしょりとなった下着を取り替えた。
露わになる少女の裸体。夢にまで見た本物の・・・・。
胸は膨らみ下腹にはいくらかの飾り毛が生え始めていた。
タオルで汗を拭くと用意した下着を着せる。
くびれた腰が前に見た姉の姿と全く違う。
細くて小さい身体なのに、どうしてなんなに大人びて見えるんだろ
う。元気いっぱいの笑顔と、料理を作るときの落ち着いた感じ。
瞳に涙が残ってる。初めてみた香奈恵の怯える姿。
自分が怯えさせてしまった。
パジャマをどうにか着せると氷枕を用意した。息が少し荒い。
落ち着いたら医者に連れていかないと・・・。
紅潮した頬、潤んだ瞳。壊したくない。
アイシテル、コノコヲマモルンダ・・・・。
そんな風に自然に感じた。
やわらかい唇の感触に心が躍る。
小鳥のような愛らしい少女の全てを手に入れたい。
二つの矛盾する心は少年の中でついに葛藤をうち破った。

祐介は私にキスをした。
何故・・・・?でも、いやじゃないの。
確か、私のこと好きかって聞いたわ。
自分のことなのによく判らない。助けてっていったわ。
私は祐介を好きなのかしら・・・?
不意に目に入るパジャマ。そっか、私の裸見られたんだ。
あんなに真っ赤になってた。
あの子、私が女の子だって事知ってしまったんだ。
祐介がキスしてくれた。私のために家に帰ってきてくれた。
私が好きだったのは、ユウスケ。
キミだったのかも知れないね、祐介。

「ねぇ、祐介。入ってもいい?」
ノックをするとすっと扉が開いた。祐介がそこにいた。
私の好きな祐介。祐介はちょっとびっくりした顔をしてる。
「いいよ、身体はどう?」
様子を見に行こうとした俺は香奈恵の姿を見て聞いた。
本当に心配なんだ。無理しないで、香奈恵。
二人が並んでベッドに腰掛ける。
熱はだいぶ下がったようだ。だるい身体が祐介に支えられる。
「お薬が効いたみたい」
病院から帰ってきてからもう6時間以上経っている。
なれない二人乗りの自転車。
ふらふらする道のりを一生懸命こぐ弟の背中は汗だくだった。
わたしのために頑張ってくれた弟がそこにいる。
「俺、・・・・・好きだ・・・香奈恵のこと大好きだ」
我慢していたものを吐き出すように、しかしきわめて落ち着いて好
意を姉に告げる弟。
「どんなふうに・・・?」
私は祐介に聞いてみた。
悪戯っぽい瞳が祐介を刺激する。どんなことをしてもいいんだよ。
なぜかしら、このどきどきする感覚。これが恋・・・なのかしら?
言葉はいらなかった。優しく包む腕が私の肩を抱きしめる。
柔らかい小鳥が俺の腕の中にいる。
壊れそうなくらい小さな恋人、香奈恵。
あくまで優しいタッチで触れてくる祐介。
だいぶ逞しくなったよね、祐介。
キス。甘いキス。私が求めていたのはこの優しさ。
ああっ、本当の香奈恵だ。こうなることを俺は夢見ていた。
お互いの枯渇した愛の代償を補う行為。
果たされぬはずの夢が現実になった。

ボタンを外す手がわずかに震える。露わになった胸。
パジャマの下とショーツもおろす。
怒張したものがズボンの中で痛いくらいに突っ張るのを感じる。
自分の服も慌てて脱ぎ捨てると、優しく香奈恵をなで回す。
唇をむさぼる。舌を差し入れると姉もちろちろとその舌を舐める。
その間も腰といわず、お尻といわず、二つに分かれた亀裂といわず
撫で、揉み上げる。
目をつむって弟の淫事に身を任せる姉。
柔らかい少女の躰がさらにもみほぐされていく。
細い躰を支えるように腰に手をやり、押し倒す。ゆっくりと。
乳房をしゃぶり尽くす祐介。愛撫を受け入れる香奈恵。
胸を激しくもまれる少し甘酸っぱい痛みを伴う行為に、赤ちゃんっ
てこんな感じなのかしら、という母性愛が香奈恵の中でうまれた。
愛おしい祐介。
祐介のためなら、この身体の全てをあずけられる。
姉弟はいとけない生まれたばかりの格好で抱き合い、絡み合ってい
る。新鮮な快感が二人の中を駆け抜ける。
いつものポニーテールをほどくと、こんなに綺麗なんて。
長いストレートの黒髪が艶やかに光る。
祐介の中に熱い記憶が蘇る。
この香奈恵という女性を抱きしめたかったんだ。素敵だ、かなえ。
ぴちゃ、くちゃ、くちゃっ・・・・
そこには大きな危険をはらむ愛があった。
姉のまばらな恥毛の生える丘からさらに下に行ったところに弟の求
めている幻想の泉があった。
香奈恵の上になっている祐介。
割れ目を限界までオープンされた少女は肉厚な大陰唇を開かれ、な
かの蝶が羽を畳んだような薄桃色のたたずまい露呈する。
「舐めてしまうよ、香奈恵をグチャグチャにしちゃうよ」
つややかなサーモンピンク色をしたぷっくり剥き出された肉球は少
年の舌でころがされ、弄ばれていた。
小陰唇の内側に舌を入れ膣底部から何から全てを舐めあげる。
喜びの粘液はすでに満たされ、膣奥から白濁となって溢れてくる。
糸引きの愛液が祐介に飲まれてしまう。
少女のクレバスは膣の奥の奥まで狂ったように激しくに舐め、吸い
とられた。
うっとりと目を開ける。そこには・・・・・。
興奮で息の荒くなった少女の目の前には固くそり立つ白色のペニス
があった。
「・・・・これが祐介のおちんちん・・・・前と違うね」
大きく腫れ上がった肉棒は限界まで張りつめ、皮の剥き上がったそ
の先を少女がちろちろ舐める。細い少女の指が絡みつく。
割れ目にそって舐めあげるとびくびくと大きく揺れた。
少女の舌にネバネバしたオクラのような透明の体液が絡みつく。
「ふふ・・・こんなにぴくぴく動いて気持ちいいの?かな・・・」
ずいぶんと遠慮深い行為であったが、好きな少女に一番敏感な部分
を舐められているという行為が淫媚な気持ちにさせる。
二人は取り付かれたように互いの性器を手を使い、舌の腹を使い弄
ぶ。性技こそ稚拙ながら、指だけでなく手のひら全体をつかい、粘
液を絡め、互いに興奮を高めていく。
二人の鋭利な性感覚はそれだけでも快感を呼んだ。
だが少年が常に夢想しつづけたものはもっと激しい行為だった。
祐介は少女を優しく見下ろした。
香奈恵は少年が何を求めるているのか悟った。自ら両足を開いた。
幼い割れ目を狙い進む細長い少年のペニス。
小陰唇を自ら開き、白濁液を流している少女は膣をひくひくさせて
興奮する。お尻の下までどろりとこぼれ落ちる愛汁がシミを作る。
勿体ないとばかりにこぼれ落ちてくる香奈恵の体液を手のひらです
くい取ると祐介は己が怒張にぬりたくった。
それだけではもの足らず、姉の幼い性器に亀頭を何度も何度も擦り
付け、肉豆と一緒くたに割れ目を掻き回す。
新たな粘液が溢れ出す。準備はもう整った。
「はいってしまうよ、香奈恵の中に」
「うん」
ぬるん。
挿入した亀頭に十分に潤ったすべらかな感触。
抵抗は全く感じない。
スリムなペニスは姉を喜ばすために与えられたのかも知れない。
ぬるぬるぬる。
香奈恵は処女血でシーツを汚すこともなく、すんなり初めての異物
を受け入れた。
難なく奥に突き進むと全てを包み込んだ。ひくひくとうごめく膣。
亀頭の先に行き止まりを感じた。
「痛くない?」
やっぱり姉の身体が心配だ。でもそんな心遣いを余所に、
「ぜんぜん。それよりもっと動いてみて」
天から与えられた得物は愛する香奈恵と気持ちいいことを共有する
だけの能力を持っていた。
動きをなるべく緩慢にして遠慮していた少年はむさぼるように動き
始めた。奥に当たるコリッとした子宮口が亀頭に何とも言えない感
触を与える。
ここに全てを吐き出したらどんなに気持ちいいか。
にゅぽ、にゅる、にゅぽ、にゅるる。
「あっ、ああっ、あっ、ふぁぁっ・・・っ」
ダメージを与えない逸物は喜びを与え、さらに激しい動きを望めそ
うだ。
大きなグラインドと小刻みな子宮へのタッチが姉弟をさらに興奮さ
せた。溢れてくるとろとろの愛液。
ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ、・・・・
肉と肉が擦れ合う音。
膣壁に先端を強く擦り付けるように腰を動かす。
規則正しい音が鳴り響く。深く、深く、えぐる祐介。
えい、えいっ、えいっ。
「もっと奥をついて・・・・」
少女は少年の足に絡みつく。
あたしのなかに熱い思いをいっぱいにして。
生命の記憶が彼女を支配する。喜びが突き上がる。
「んっ、あっ、いいよぉ、もっとっ・・・・っっ」
頬を赤く染めながら弟をもっと奥へ受け入れようとする香奈恵。
幼い胸をまさぐられながら弟に犯される姉。
「ああ、もっとグリグリ掻き回すからね」
子宮口への刺激が小刻みのタッチからのの字を描くような動きに変
わった。
と、香奈恵の右手の指が不意に気持ちいい自分のボタンを転がし始
めた。指に挟み付けられたクリトリスは激しく振動を与えられる。
少年の亀頭の動きが激しくなる。
少女の中に潤滑液をなすりつけるように暴れ回る。
「うああああああ、あああぁぁぁぁぁぁ・・・・・」
初めて迎える絶頂が少女を襲う。きもちいいよぅ・・・・・。
その興奮した声を聞いて少年も最期の時を迎えようと少女の最奥に
小刻みなジャブをくわえる。
次の瞬間
「うっ、ぬっっっ・・・・・・っ」
「ふあぁぁぁぁっ・・・・・」
香奈恵の奥にぶつかる祐介の精液。
姉弟の遺伝子が受け継がれる瞬間。
出したい、自分の全てを香奈恵の中に・・・・この奥にっっ。
びゅっ、びびゅるっっ、びゅっっ・・・・・。
少女の幼い子宮は熱い白濁を受け入れる。
若いペニスが何度も脈打つ。
降り注がれる青い精液が膣奥を溢れんばかりに満たされる。
祐介の亀頭は香奈恵の子宮口にこすり続けながら、まだまだ吐き出
す。止まるところを知らぬかのようにスペルマは溢れてくる。
もう少し、もっと、もっと出したい。がんばれ、ゆうすけっ。
最期の一滴までが絞り出るまで二人の姉弟は身体を固くしていた。
はあ、はぁ、はぁ・・・・・・・。
夢にまで見た結合。そして香奈恵のお腹の中に注がれた愛の結晶。
香奈恵は暖かい感触に満足し、祐介は全てを受け入れてくれた香奈
恵に軽いキスをした。あいしてる、あいしているわ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
つづけて二回目のセックスも香奈恵の体内に出し終わってから。
ふと祐介は疑問に感じた。
「ねぇ、妊娠って・・・・・するのかな?・・・・・」
祐介は不思議な顔をした。言いしれぬ不安が襲う。
13歳の香奈恵は微笑みかえすだけだった。・・・どうかしらね。
               

                      (終わり)


[戻る]