黒岩瑪瑙『インモラル』
川上稔氏の『境界線上のホライゾンⅠ上巻』(電撃文庫)を読みました。アニメから入った身ですが、原作小説を読むとアニメでここの描写はこういった意味だったのかと分かって面白さが増しますね。
丹念に構築された世界観と登場人物達のそれぞれの魅力が光りますね。読み終えたので、Ⅰ下巻を買ってきたのですが、これまた、トンデモな厚さですねぇ・・・素敵!
さて本日は、黒岩瑪瑙先生の『インモラル』(コアマガジン)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『MILKY WAY』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
タイトル通りに、背徳的で淫靡なエロスを雰囲気豊かに描き出しつつ、暗さに引きこもることのない魅力を備えた作品集となっています。
収録作は、夫に先立たれ10年間善き母、貞淑な未亡人として暮してきた母親が息子との旅行先の温泉宿で女としての欲望を再び開花させられて~な中編「インモラル」全3話+おまけのフルカラー掌編4P(←参照 同中編第1話より)、自転車で旅行をしている女性二人が旅先で水浴びした際にち○この生える寄生虫に感染して~な連作「真夏の夜の淫夢」前後編、および独立した短編4作。
1話・作当りのページ数は18~24P(平均22P強)と標準的なボリューム。題材的には重めではありつつ、滑らかな読書感もあり、その中で濃厚な官能性を放つエロを魅せる作品構築となっています。
【背徳の快楽への陶酔と祝福】
良き母の“覚醒”により母子相姦に発展するタイトル中編「インモラル」を筆頭に、教師と生徒(短編「In the School」)、母と子(短編「淫習」)、女の子同士(連作「真夏の夜の淫夢」)など、肉体を交わらせることが背徳的である関係性を描く作品がメイン。
もっとも、背徳性の軽重は作品によって異なり、妖しく退廃的な雰囲気の中、深淵へと堕ちていく中編「インモラル」のような作品もあれば、性教育の一環としてエロエロな先生と無垢な少年達がセックスを行う短編「In the School」のようなあっけらかんとしたノリの作品も存在します。
前者の作風に関しても、ダウナーな堕ちモノや調教エロとは趣が異なるタイプであり、外的要因によって日常を喪失し、禁じられた快楽に囚われながらも、それが最終的には登場人物達の願望を叶えるものであり、常識と倫理の側に立つものから見れば歪んだものであっても、他者も含めて祝福を呼び込むものとして描かれています(←参照 中編「インモラル」第3話より)。
無論、底抜けに明るいラブコメディといった形式を望むのは避けるべきではありますが、単に“イケない”水準から倫理によって禁じられた水準まで、背徳的な行為を様々なレベルで描きだしつつ、登場人物達がそれぞれに幸福としての快楽を得る様が独特の優しさを含んでいます。
また、中編「インモラル」における母親のモノローグにおける官能小説的な語り回しの良さ、短編「対決!名探偵古賀谷子少年VS怪盗インバネス」などにおける挑発的なエロお姉さんの相手を煽る台詞回しの良さなど、ストーリーのドラマ性を語りによって魅力的に魅せる技巧がきっちり効いているのも◎。
ファンタジー要素の介入や、母子相姦に至る状況設定など、話の設定自体の面白さという面もあるのですが、ある意味で女性キャラクターのキャラ立てで十分に作劇面の魅力を形成できていると感じます。
【熟女のスレンダーボディに宿る適度な肉感と生々しいエロス】
フタナリ化した女性同士の絡みや成人男性によるフタナリ化の“治癒”が描かれる連作「真夏の夜の淫夢」は例外的ですが、他の作品はキャラ設定こそ様々ながらショタ系少年と年上美人との組み合わせで統一。
30代半ば~後半程度の母親、20代半ば~後半程度と思しき女教師やエッチなお姉さんなどの年上美人達は、年齢相応な熟した性的魅力を有しているタイプであり、これに対して少年達は思春期真っ盛りで、子供としての未成熟さと大人としての男性性が入り混じったタイプとして描かれています。
アダルト美人達の妖艶な色香を豊潤に漂わせることに長けた作家さんであり、特にエロのスイッチが入った女性達が魅せる挑発的で妖しげな表情は読者諸氏のMっ気をも喚起させる要素(←参照 この目の表情が実にたまりません 短編「In the School」より)。
熟女クラスの女性キャラクターも登場していますが、それらのキャラデザインとして定番である豊満な肢体ではなく、細身ですらっとした体幹を年齢層問わずに基調としており、張りのあるバストやヒップと引き締まったウェストの組み合わせはストレートなセックスピールよりかは均整の取れた美しさを感じさせるタイプ。
この美しい肢体に、比較的濃い目の陰毛や時々脇毛、体幹の薄い肉付き故にうっすらとその存在を示す肋骨など、適度に生々しい色気のある体パーツを付与しており、美しいだけでなく十分なエロティックさを込めているのも美点でしょう。
単行本通して安定している作画は、一見するとあまり作画密度が高くないように思えるものの、描線を丁寧に引き、細かい部分までトーンワークを凝らす作画は高質であり、アナログ作画的ないい意味での荒さまで制御して組み込んでいるかのような巧さを感じさせます。
【甘く妖しい女体の魅力を核とする陶酔のエロシーン】
ストーリー展開の中でエロを魅せるタイプであるため、エロ展開を分割構成するケースもしばしばあり、またエロ展開とシナリオ展開をリンクさせる分、抜きだけに集中したい方には多少減点材料になる可能性がありますが、雰囲気の良さとエロお姉さん達の活躍ぶりもあって実用性は十二分。
ショタ×年上美人というシチュエーションが持つ、余裕を持ちながらそれが徐々に崩されていく女性側と、無垢であるが故に夢中になって相手を求める少年側の対比という旨味を前面に押し出しており、属性持ちには堪らない部分でありつつ、行為の主導権を男性側に握らせたい諸氏にはやや不向き。
前戯パートでは、ショタ少年の小さめサイズのち○こを剥いたり舐めたりな女性側の攻めや、少年達が艶めかしい肢体や熟れた秘所を指や舌で夢中になって味わう様で構築しており、この時点ではまだ女性キャラクター側に余裕や行為のアドバンテージが存在。上述した体パーツの艶めかしさもよく生かされており、性的興奮に勃起するクリトリスや乳首などの描写は良いワンポイント。
すっかりスイッチの入ったお姉様達が自ら性器を広げ、妖しくも甘い台詞回しで挿入を促すことで開始される挿入パートにおいて、無我夢中の少年側が懸命にピストン運動を繰り出すことでエロの主導権は双方に分配され、ヒロイン側も年上の余裕を失って、身を焼く強烈な快楽に恍惚の表情を曝け出します(←参照 短編「お姉さんは淫❤獣」より)。ショタ少年の悶える表情は女性読者にも、お姉様達の羞恥と喜悦の入り混じった表情は男性読者に嬉しいものでしょう。
絡み合う肢体の躍動感を適度に打ち出しつつ、アヘ顔などの過激なエロ演出は控える傾向にありますが、それでもエロとしての十分なアタックがあるのは、肢体の質感の出し方の巧さや男女の体の密着感が作画に豊かに込められているためでしょう。
絶頂に伴うお漏らしや、複数人同時プレイによるぶっかけの付随などで、抜き所を多数エロ展開に配置しており、ヒロインの肢体と絶頂の叫びを1Pフルを基本として描くアナル/前穴への中出しフィニッシュにより、十分なインパクトでエロシーンをまとめています。
派手さや強烈なハードさには欠ける一方で、シナリオにしてもエロにしてもじわじわと盛り上げる技量は強い魅力であり、誘惑エロお姉さんの肢体に埋もれたい諸氏には大変お勧めな1冊。
個人的には全作愛していますが、強いて選ぶなら女装したショタとエロお姉さんの攻防劇が味わえる短編「対決!名探偵古賀谷子少年VS怪盗インバネス」と、色っぽい熟女なママさんの肢体を味わい尽す中編「インモラル」が特にお気に入りでございます。お勧め!
丹念に構築された世界観と登場人物達のそれぞれの魅力が光りますね。読み終えたので、Ⅰ下巻を買ってきたのですが、これまた、トンデモな厚さですねぇ・・・素敵!
さて本日は、黒岩瑪瑙先生の『インモラル』(コアマガジン)のへたレビューです。なお、先生の前単行本『MILKY WAY』(同社刊)のへたレビュー等もよろしければ併せてご参照下さい。
タイトル通りに、背徳的で淫靡なエロスを雰囲気豊かに描き出しつつ、暗さに引きこもることのない魅力を備えた作品集となっています。
収録作は、夫に先立たれ10年間善き母、貞淑な未亡人として暮してきた母親が息子との旅行先の温泉宿で女としての欲望を再び開花させられて~な中編「インモラル」全3話+おまけのフルカラー掌編4P(←参照 同中編第1話より)、自転車で旅行をしている女性二人が旅先で水浴びした際にち○この生える寄生虫に感染して~な連作「真夏の夜の淫夢」前後編、および独立した短編4作。
1話・作当りのページ数は18~24P(平均22P強)と標準的なボリューム。題材的には重めではありつつ、滑らかな読書感もあり、その中で濃厚な官能性を放つエロを魅せる作品構築となっています。
【背徳の快楽への陶酔と祝福】
良き母の“覚醒”により母子相姦に発展するタイトル中編「インモラル」を筆頭に、教師と生徒(短編「In the School」)、母と子(短編「淫習」)、女の子同士(連作「真夏の夜の淫夢」)など、肉体を交わらせることが背徳的である関係性を描く作品がメイン。
もっとも、背徳性の軽重は作品によって異なり、妖しく退廃的な雰囲気の中、深淵へと堕ちていく中編「インモラル」のような作品もあれば、性教育の一環としてエロエロな先生と無垢な少年達がセックスを行う短編「In the School」のようなあっけらかんとしたノリの作品も存在します。
前者の作風に関しても、ダウナーな堕ちモノや調教エロとは趣が異なるタイプであり、外的要因によって日常を喪失し、禁じられた快楽に囚われながらも、それが最終的には登場人物達の願望を叶えるものであり、常識と倫理の側に立つものから見れば歪んだものであっても、他者も含めて祝福を呼び込むものとして描かれています(←参照 中編「インモラル」第3話より)。
無論、底抜けに明るいラブコメディといった形式を望むのは避けるべきではありますが、単に“イケない”水準から倫理によって禁じられた水準まで、背徳的な行為を様々なレベルで描きだしつつ、登場人物達がそれぞれに幸福としての快楽を得る様が独特の優しさを含んでいます。
また、中編「インモラル」における母親のモノローグにおける官能小説的な語り回しの良さ、短編「対決!名探偵古賀谷子少年VS怪盗インバネス」などにおける挑発的なエロお姉さんの相手を煽る台詞回しの良さなど、ストーリーのドラマ性を語りによって魅力的に魅せる技巧がきっちり効いているのも◎。
ファンタジー要素の介入や、母子相姦に至る状況設定など、話の設定自体の面白さという面もあるのですが、ある意味で女性キャラクターのキャラ立てで十分に作劇面の魅力を形成できていると感じます。
【熟女のスレンダーボディに宿る適度な肉感と生々しいエロス】
フタナリ化した女性同士の絡みや成人男性によるフタナリ化の“治癒”が描かれる連作「真夏の夜の淫夢」は例外的ですが、他の作品はキャラ設定こそ様々ながらショタ系少年と年上美人との組み合わせで統一。
30代半ば~後半程度の母親、20代半ば~後半程度と思しき女教師やエッチなお姉さんなどの年上美人達は、年齢相応な熟した性的魅力を有しているタイプであり、これに対して少年達は思春期真っ盛りで、子供としての未成熟さと大人としての男性性が入り混じったタイプとして描かれています。
アダルト美人達の妖艶な色香を豊潤に漂わせることに長けた作家さんであり、特にエロのスイッチが入った女性達が魅せる挑発的で妖しげな表情は読者諸氏のMっ気をも喚起させる要素(←参照 この目の表情が実にたまりません 短編「In the School」より)。
熟女クラスの女性キャラクターも登場していますが、それらのキャラデザインとして定番である豊満な肢体ではなく、細身ですらっとした体幹を年齢層問わずに基調としており、張りのあるバストやヒップと引き締まったウェストの組み合わせはストレートなセックスピールよりかは均整の取れた美しさを感じさせるタイプ。
この美しい肢体に、比較的濃い目の陰毛や時々脇毛、体幹の薄い肉付き故にうっすらとその存在を示す肋骨など、適度に生々しい色気のある体パーツを付与しており、美しいだけでなく十分なエロティックさを込めているのも美点でしょう。
単行本通して安定している作画は、一見するとあまり作画密度が高くないように思えるものの、描線を丁寧に引き、細かい部分までトーンワークを凝らす作画は高質であり、アナログ作画的ないい意味での荒さまで制御して組み込んでいるかのような巧さを感じさせます。
【甘く妖しい女体の魅力を核とする陶酔のエロシーン】
ストーリー展開の中でエロを魅せるタイプであるため、エロ展開を分割構成するケースもしばしばあり、またエロ展開とシナリオ展開をリンクさせる分、抜きだけに集中したい方には多少減点材料になる可能性がありますが、雰囲気の良さとエロお姉さん達の活躍ぶりもあって実用性は十二分。
ショタ×年上美人というシチュエーションが持つ、余裕を持ちながらそれが徐々に崩されていく女性側と、無垢であるが故に夢中になって相手を求める少年側の対比という旨味を前面に押し出しており、属性持ちには堪らない部分でありつつ、行為の主導権を男性側に握らせたい諸氏にはやや不向き。
前戯パートでは、ショタ少年の小さめサイズのち○こを剥いたり舐めたりな女性側の攻めや、少年達が艶めかしい肢体や熟れた秘所を指や舌で夢中になって味わう様で構築しており、この時点ではまだ女性キャラクター側に余裕や行為のアドバンテージが存在。上述した体パーツの艶めかしさもよく生かされており、性的興奮に勃起するクリトリスや乳首などの描写は良いワンポイント。
すっかりスイッチの入ったお姉様達が自ら性器を広げ、妖しくも甘い台詞回しで挿入を促すことで開始される挿入パートにおいて、無我夢中の少年側が懸命にピストン運動を繰り出すことでエロの主導権は双方に分配され、ヒロイン側も年上の余裕を失って、身を焼く強烈な快楽に恍惚の表情を曝け出します(←参照 短編「お姉さんは淫❤獣」より)。ショタ少年の悶える表情は女性読者にも、お姉様達の羞恥と喜悦の入り混じった表情は男性読者に嬉しいものでしょう。
絡み合う肢体の躍動感を適度に打ち出しつつ、アヘ顔などの過激なエロ演出は控える傾向にありますが、それでもエロとしての十分なアタックがあるのは、肢体の質感の出し方の巧さや男女の体の密着感が作画に豊かに込められているためでしょう。
絶頂に伴うお漏らしや、複数人同時プレイによるぶっかけの付随などで、抜き所を多数エロ展開に配置しており、ヒロインの肢体と絶頂の叫びを1Pフルを基本として描くアナル/前穴への中出しフィニッシュにより、十分なインパクトでエロシーンをまとめています。
派手さや強烈なハードさには欠ける一方で、シナリオにしてもエロにしてもじわじわと盛り上げる技量は強い魅力であり、誘惑エロお姉さんの肢体に埋もれたい諸氏には大変お勧めな1冊。
個人的には全作愛していますが、強いて選ぶなら女装したショタとエロお姉さんの攻防劇が味わえる短編「対決!名探偵古賀谷子少年VS怪盗インバネス」と、色っぽい熟女なママさんの肢体を味わい尽す中編「インモラル」が特にお気に入りでございます。お勧め!
コメント
No title
終クロなんか、シリーズ一気買いしたら、腰抜かしそうですもんねw
Re: No title
802さん、コメントありがとうございます。
3巻目(Ⅱ上)を読み進めていますが、これまた分厚く、本棚をいい感じに圧迫しております(笑
一気買いしたらえらい高さになりそうですなー
ではでは~
3巻目(Ⅱ上)を読み進めていますが、これまた分厚く、本棚をいい感じに圧迫しております(笑
一気買いしたらえらい高さになりそうですなー
ではでは~
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