LED信号機に弱点 発熱少なく雪解けず(2012/03/19 08:50)
大雪に見舞われた日のLED式信号機(上)と従来の電球式信号機(下)=12日、八戸市内
 節電効果の大きさや視認性の高さなどから、青森県警が導入を進めている発光ダイオード(LED)式信号機。メリットが多いとされるが、従来の電球式と比べて発熱量が少ないため、冬場は信号機のレンズに付いた雪が解けにくく、豪雪地帯の多い県内では信号が見づらいという指摘が相次いでいる。県警も改善に向けて実験を重ねているが、効果的な策は見つかっていない。東日本大震災後、警察庁が節電強化を全国の警察に指示するなど今後はLEDが主流になる中、県警は雪国ならではの模索を続けている。
 県警交通規制課によると、県内でLED式信号機が導入されたのは2003年から。11年3月末現在、県内に設置されている車両用の信号機1万4139カ所のうち3割近い3824カ所に使用され、歩行者用の信号でも約3割を占めている。
 LEDはレンズ1個当たりの消費電力が15ワットと、電球の70ワットに比べて5分の1程度。夕方に西日を受けても視認性が高く、寿命も長いなどメリットが多い。
 半面、雪国ならではの課題もある。大雪と低温が続いた今年1月、「積もった雪で信号が見えにくい」などの声が、青森署や七戸署などに計25件寄せられた。警察官や業者が信号機の雪下ろしなどを行った箇所は、青森市を中心に445カ所に上る。
 今月12日、大雪に見舞われた八戸市内でもLED式信号機に雪が積もり、見えにくい状況となりドライバーを戸惑わせた。
 同市田向の主婦(34)は「信号が見えにくいためか、赤でも進む車があった。交差点に入る直前まで色が分からず、ヒヤッとしたこともある」と話す。
 市内のタクシー運転手(53)は「LED信号機は夜間、遠くからでもはっきり見えるが、大雪の日は見えにくかった」と改善を求めた。
 LED式に関するこうした冬場の課題は以前から指摘されており、同課は11年2月から青森市内6カ所で、着雪防止に向けた3種類の実験を進めている。
 一つは「フラット型」で、信号機全体の前面を平らにし、着雪や積雪を防止する方法。二つ目は、レンズの上半分に半球型のカバーを付ける策。最後は、電線が入った薄いフィルムをレンズに貼り付けて発熱させる「フィルムヒーター式」の検討。
 しかし、どの種類の実験でも吹雪の時には効果が出にくく、決定打とはなっていないという。同課は「実施中の実験結果を踏まえ、どのような方法がよいかを検討していく」と話している。(吉田有花、上ノ山絢)
【写真説明】
大雪に見舞われた日のLED式信号機(上)と従来の電球式信号機(下)=12日、八戸市内

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