パレスチナ:「国家化」提案 米とイスラエル、静観−−国連総会

毎日新聞 2012年11月29日 東京朝刊

 【エルサレム花岡洋二】パレスチナの国連での地位を現在の「オブザーバー機構」から「オブザーバー国家」に格上げする総会決議案の採決が29日に迫る中、強硬に反発してきたイスラエルと米国は、採決は不可避と判断し、静観する構えをみせている。

 イスラエルや米国は当初、アッバス議長に対し、採決の断念を求めるとともに、欧州諸国や日本などには決議に賛成しないよう、強く要請してきた。また、決議案が採決された場合、イスラエルは自治政府に代わり徴収している関税の移転中止や、新たな入植住宅建設などの報復を警告していた。

 しかし、イスラエル紙ハーレツによると、決議案の採択は避けられないと判断し、米国側がイスラエルのネタニヤフ首相に、決議案の文面を弱めることに重点をおく外交作戦に変更するよう提案。当初イスラエルが警告していた報復についても、緩和の方向で検討を始めているという。

 背景には、自治区ガザ地区を実効支配し、両国が「テロ組織」に指定するイスラム原理主義組織ハマスが、イスラエルとの戦闘と停戦を通じて、強硬姿勢を貫いた結果、パレスチナ内部で発言力を強めたことがある。

 イスラエルや米国は、和平路線のアッバス議長の自治政府に代わってハマスが台頭する事態を避けたい狙いがある。アッバス議長に圧力をかけ採決を断念させればパレスチナ内での議長の権威が失われ、自治政府の崩壊すら危ぶまれるため態度を軟化せざるを得なくなったとみられる。

 国連総会の決議は安全保障理事会の決議とは異なり、法的拘束力を持たず、国際世論が「将来のパレスチナ国家樹立」を支持することを示す政治的な意味合いが強い。また、パレスチナ側は、格上げされた場合に国際刑事裁判所(ICC)への加盟を計画。ICCにイスラエルによるヨルダン川西岸への入植活動などが「国際法違反」だと提訴する狙いがある。

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