抗がん剤拒否
思えば数年前から、年中行事のように胃痛を起こしていました。
寝込むほど痛むのですが数日するとケロッと治ります。
もちろん医者にも行きました。
CTを撮ったりしても異常は見つかりません。
血液検査では「笑っちゃうくらい健康です」なんて言われたり
していました。
そんなことだから油断をしてしまったのかもしれません。
異常は今年の夏です。
鳩尾から右下腹部にかけてかなりきつい痛みがあり、
ゴルフのスイングもできないくらいでした。
かかりつけの内科医へ行こうとしましたが、あいにくその日は
午後休診で、別の医院へ行きました。
レントゲンとCTを撮りましたら痛みのある場所に大きなシコリ
がありました。
でもそれがなにかはわかりません。
腹膜の外で皮膚の内側。
ガンならそんなところにはできないとのことでした。
整形へ行き、再びレントゲンをとれば、第4脊椎が若干つぶれて
いるようなので、それが原因ではないか?との診断です。
ならばと今度は中国針の診療所へ行きました。
すると、これは肝臓ではないか? と言われました。
そうしてグルッと廻って結局はかかりつけの内科医へ行き、診察
したところ、その医師は、これは開業医の手に負える状態じゃない。
との診断です。
さっそく青森県の高度医療の最先端「青森県立中央病院」への
紹介状をいただきました。
種々の検査の結果はスキルス胃癌のステージⅣ、つまり末期癌
でした。
担当の女医はすでに転移が4箇所あるし、腹膜内への転移もある
ので手術は不可能。 「抗がん剤治療に期待するしかないですね」
とのあっさりしたものでした。
無治療ならば余命は1年未満。
抗がん剤治療を行えばさらに10~12ヶ月くらいは延命させられる
かもしれない。
との診断です。
「治療は早いほうが良いでしょう。
5日後の11月19日ににベッドが空きますから、まず2週間入院して
シスプラチン+TS1にて治療をします」
とのご託宣でした。
・・・10~12ヶ月くらいは延命させられるかもしれない・・・・
この言葉は響きました。
私たちは家に帰って猛烈に調べました。
そして大いに疑問を持ったのでした。
それは、抗がん剤治療に延命効果があるのか?
ということでした。
話せば長くなるので割愛しますが、延命効果どころか、下手すると
さんざん苦しい思いをして結局は縮命効果しかなかった、ということ
もあるということでした。
それはかなり高い確率で、です。
セカンドオピニオンで国立がんセンターにも行きましたし、抗がん剤
治療に異を唱えて数々の著書を出している、慶応大学医学部の、
近藤誠先生にも会いに行きました。
そして、疑問は確信となりました。
抗がん剤治療に延命効果などない。
結局なにもしなくとも命ながら得る人は長らえるし、西洋医学の3大
治療をやっても駄目な人は駄目なのだ。・・と
それならば、苦しまずに余生をまっとうしたほうはどれほどましか。
と、思ったのです。
いや、私はいくばくかは妻に治療をしてもらい、いくらかでも延命
できればと思ったりしました。
しかし、妻は断固として拒否しました。
延命効果があるかないかわからないものに苦しい思いまでして
掛けて、QOLを下げてまで治療はしたくない。との強い気持ち
でした。
つい、半月前まではとても元気でした。
体調の良いときはゴルフに行ったりもしました。
それがあっというまに症状が進行しました。
癌という病はほんとうに恐ろしい病気です。
しかし、それは抗がん剤治療を拒否したからではありません。
あのとき抗がん剤治療を受けていたら、きっともっと早く妻の
体は衰弱したに違いありません。
後悔はしていません。
私も妻も。
そして、まだ希望を捨ててはいません。
昨日の退院のとき、親身になってお世話してくれた、県病の男性
主任看護師さんに、妻はこう尋ねました。。
「Kさん、ほんとうにお世話になりました。
最後に、ひとつ聞きますが、もし、貴方が癌になったら、抗がん剤
治療を受けますか?」
K看護師は間髪入れずにこう答えました。。
「私は絶対拒否します。
なぜなら、抗がん剤治療で苦しんだ挙句に延命効果がみられた
人は、少なくとも私は見たことがありません。
抗がん剤治療を拒否された方がその後どのようになられたかも
わかりませんが・・」
青森県立中央病院は青森県の癌治療の最先端とされています。
その癌病棟の主任看護師の言葉です。
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