『蝶々(ちょうちょう)夫人』や『トゥーランドット』よりも先に欧州の観衆を魅了した作品があった。
19世紀に芸術の都オーストリア・ウィーンで韓国人の愛国心を素材にしたバレエ作品『コリアの花嫁(Die Braut von Korea)』が5年間にわたり公式レパートリーとして公演され、人気を集めていたことを示す史料がこのほど発見された。東洋に対する関心が高まっていた欧州で日本を舞台にした『蝶々夫人』(1904年)、中国を題材にした『トゥーランドット』(1926年)よりも前に、韓国的な素材が欧州の観衆に愛されていた事実が確認されたことになる。
■115年前の「韓流」
ベルリン自由大韓国学科研究員のパク・ヒソク博士は、韓国学中央研究院の韓国学振興事業団から支援を受け、ドイツ・フランクフルトにあるクラシック専門出版社の倉庫で『コリアの花嫁』の楽譜を発見した。楽譜は1897年の制作で4幕9章、543ページから成っており、全ての楽器の楽譜と指揮法が記録されていた。
楽譜と共に発見されたあらすじ(15ページ)によると、日本の侵略を受けた朝鮮の王子が国を救うために戦場に向かい、王子を愛する朝鮮人女性が命懸けで戦場に身を投じるストーリー。時代的背景は日清戦争(1894-95)と推定される。登場人物はコリアの王子、王子を愛する女性、愛の女神、日本軍の将軍、コリアの将校、義兵、歩哨、妓生(キーセン)などだ。当時は指揮者用の総楽譜が1部しか作成されなかったため、今回発見されたものが唯一の原本とみられる。
作曲家はオーストリア宮廷バレエ団長だったヨーゼフ・バイヤー(1852-1913)で、脚本はヨーゼフ・ハスライター、ハインリヒ・レゲルの2人。彼らがなぜ韓国に関心を持ったかは不明だ。表紙には着物姿の女性、太極旗(韓国の国旗)を掲げた帆船が描かれている。