「国粋主義に向かう日本、原因は国力の弱体化」

ハーバード大ジョージフ・ナイ教授
「中国に経済2位を奪われて以来、若者層の意識が偏狭に」

 日本社会がこのところ国粋主義に傾倒していることについて、国力の弱体化が反映されたものと分析する声が上がっている。ハーバード大学のジョージフ・ナイ教授は28日、英紙フィナンシャル・タイムズに寄稿し「問題は、日本が強くなっているのではなく、むしろ非常に弱くなり、国内指向になりかねないという点」と述べ、上記のように分析した。

 ナイ教授は「総選挙の世論調査によれば、野田佳彦首相は安倍晋三・自民党総裁に首相の座を譲ることになるだろう」として「日本の国民感情は徐々に国粋主義的な方向に向かっている」と述べた。

 ナイ教授はまた「日本は世界2位という経済大国の地位を中国に奪われた上、国内総生産(GDP)比200%以上に達する国の借金、高齢化、合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子どもの数の平均)の低下などの問題に直面している。ここ20年にわたり日本は低迷し続けており、若者層の間でより偏狭な態度が見られる」と指摘した。

 さらに「日本が国際社会で積極的な役割を果たす代わりに、反動的・大衆迎合的な国粋主義を追い求めれば、日本だけでなく全世界に悪い影響を及ぼすだろう」と懸念を示した。

 続けてナイ教授は「穏健な民族主義が、コントロールされた状態で改革につながれば良いが、国粋主義的なムードが大衆迎合的な立場に帰結し、周辺国との敵対感だけが大きくなる危険性がある」と指摘した。

 ナイ教授は「中国もやはり、自国内で国粋主義が復活し始めている状況。両国の極端な民族主義者たちが互いに主張を強め、繁栄を阻害するムードを造成する可能性もある」と警告した。

李漢洙(イ・ハンス)記者
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