国連総会第3委員会は27日、北朝鮮人権決議案を無投票の全会一致で採択した。国連総会は2005年以降、毎年北朝鮮人権決議案を投票によって採択してきたが、無投票で採択に至ったのは今回が初めてだ。これまで決議案に反対してきた北朝鮮を初め、中国、キューバ、ベネズエラは、投票が行われた場合は圧倒的賛成多数での採択が確実視されたため、投票にはこだわらず合意にも加わらなかった。北朝鮮の人権問題は今や国際社会全体が憂慮しているという事実が、今回改めて確認されたわけだ。
今回の決議案もこれまでと同様、北朝鮮での住民に対する拷問や拘禁、政治犯収容所、女性や子供に対する人権侵害に憂慮を示し、脱北者は強制送還されてはならないなどの点を強調した。
韓国の左翼勢力は1970年代、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領による維新体制の下での人権侵害を大統領選挙の争点として浮上させながらも、北朝鮮の人権問題は人ごとのように無視したり、あるいは積極的な議論の対象とすることを妨害したりしてきた。米国と日本はすでに北朝鮮人権法を制定しているが、韓国の国会は野党の反対で北朝鮮人権法をいまだに制定できていない。北朝鮮の人権問題に対して賛成と反対に分かれて論争している国は、自由世界の中では同じ民族である大韓民国しかない。
今回の大統領選挙では、与党セヌリ党の朴槿恵(パク・クンヘ)候補でさえ北朝鮮の人権問題について何も発言しておらず、野党・民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)候補は「北朝鮮の人権問題に関しては、包括的なアプローチが必要だ」と述べ、北朝鮮人権法の制定に反対する意向を明確にしている。国連総会で北朝鮮人権決議案が無投票で採択された一方で、韓国の大統領候補者らは北朝鮮の人権問題に口を閉ざすか、あるいは「包括的アプローチ」などと意味不明な言葉で言い逃れをしている。これは大韓民国の将来に責任を持つ大統領候補としての資質に問題があることを、自ら認めることと何ら違いがない。