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日本のスポーツイベント黎明期を支えた男の回想(1/3)
トヨタカップを呼んだ男たち 第3回 入江雄三

2004年12月06日

電通入社以来、日本のスポーツイベント黎明期を支えた入江雄三氏
電通入社以来、日本のスポーツイベント黎明期を支えた入江雄三氏【 photo by 宇都宮徹壱 】
●●トヨタカップ黎明期の関係者に取材していて、当時の時代性についていろいろと気付かされることがある。例えば、いわゆる冠スポンサーとかイベント・プロデュースといった、今では当たり前になっているこれらの概念が日本に定着し始めたのが70年代後半と、それほど昔の話でもないという事実だ。しかも驚くべきことに、大手広告代理店の電通でさえ、当初スポーツイベントの可能性には懐疑的であったらしい。プロ野球をほとんど唯一の例外として、当時のスポーツ界はアマチュア全盛の時代。無論、サッカーとて例外ではなかった。そんな時代の中で誕生したトヨタカップは、ある意味で12年後のJリーグ開幕に向けての道を作った、と言えるかもしれない。
 さて、今回ご登場いただく入江雄三氏は、よほどのサッカーファンでもなじみのない名前であろう。現在、ぴあ株式会社で常勤監査役を務める入江氏は、今年74歳。1952年に電通入社以来、常に黒子に徹しながら、数々のラジオ・テレビ番組、そしてスポーツイベントを手掛けてこられてきた。特筆すべきは、75年に氏が初代局長となった開発事業局が、その後の電通のスポーツイベント事業に多大なる影響を与えたことであろう。入江氏のキャリアは、日本のスポーツイベント黎明期から2002年のワールドカップまで、見事にシンクロしている。そして、その膨大な仕事の中には、当然ながらトヨタカップ開催(=インターコンチネンタルカップ日本開催)も含まれている。
 まずは入江氏に、電通がスポーツイベント、とりわけ国際的なサッカー・イベントをプロデュースするようになった時代背景について、お話を伺うことにした●●


(取材:10月28日 インタビュアー:宇都宮徹壱)


■きっかけはフィギュアスケートだった


――トヨタカップについてお話を伺う前に、入江さんが電通で本格的にスポーツイベントにかかわるまでの経緯について、教えていただけますでしょうか?

「私が大阪から東京に転勤したのが昭和46年(1971年)。その時に命じられたのが、ニューメディア。その当時では、ビデオ産業とかCATVだとかいった分野の事業化でした。でも、そういったものが、世間がいうほどすぐには商売になるのか、私はかなり懐疑的だったんですね。
 その間にもいろいろな経緯があったんですが、それよりも広告領域で、すぐにでも事業化できることがいくらでもあるのではないか。例えばイベント・プロデュース、権利ビジネス、流通などを事業化すべきではないかということになって、会社から予算をもらって、小さな試みではあったけれど、音楽プロデュースと音楽の権利関係とか、マーチャンダイズ研究とか、そういったことをいろいろとテストしてみることにしました。

 これらは、あまり大きな成果はありませんでしたが、ようやく人に説明できるくらいになったところで、そういうセクションを新たに作ることになったんです。役員会でもずい分と議論した末に、昭和50年(1975年)7月に開発事業局というセクションが立ち上がることになったんですが、海のものとも山のものともつかないものに誰も手を出したくないということで、局長のなり手がなかったんですね。結局、言いだしっぺの私が局長になることになったんです。
 まあ、今でこそイベント・プロデュースとか、権利ビジネスとか、誰でも知っているわけですが、当時は何をやろうにも部下が全然分かっていない。部下を教育するのに、大体1年くらいかかりましたかね」

――その開発事業局が立ち上がって、電通として最初にスポーツ・イベントのプロデュースに携わるようになったのは、いつ頃からでしょうか?

「立ち上がって1年半くらいした時に、日本で始めてフィギュアスケートの世界選手権が開催されることになりました。それが昭和52年(78年)の3月。そこで、当時の日本スケート連盟の会長が電通を訪れて『今度、スケート連盟でこういうことを初めてやるので、ぜひ電通の協力のお願いしたい』とおっしゃるわけです。
 もっとも、電通としても今までそういったことはやっていなかったし、事業責任まで持たなければならないから、大変なわけです。それで、赤字が出たら折半、収益が上がっても折半でやりましょうということになって、会社としてフィギュアの世界選手権に取り組むことになったんです」


■大成功だった、ペレのサヨナラゲーム


ペレ来日当時の珍しい写真。当時巨人軍監督だった長嶋茂雄氏と ペレ来日当時の珍しい写真。当時巨人軍監督だった長嶋茂雄氏と【 photo by 宇都宮徹壱 】
――初めての試みということで、いろいろと緊張もあったでしょうね

「失敗は許されませんでしたね。締めるところは締めて、無駄な経費も極力抑えて、全員が一致団結して大会に臨んだんです。こういうことを成功させるには、集団の集中力というのが必要になるんですね。集団が一致結束して、みんながやる気になればツキも回ってくる。実際、この世界選手権では、日本の選手、佐野稔だったかな、初めてメダルを取ったんですよ。

 結果は大成功でした。大会自体も成功したし、事業収支でも黒字になって。それで電通は十分に手数料をいただいたので、それまでスケート連盟が抱えていた赤字を解消するような形で、当初の打ち合わせよりも少し多くの金額をスケート連盟にお渡ししたんですね。そうしたら、そのことが大きな話題になってしまって、『大きなスポーツイベントを開催するなら、電通と組んだ方がうまくいく』という話が体協で広まっていったんです。宣伝効果としては、何億という価値があったと思いますよ(笑)。そのあとでしたね、サッカーのイベントをやったのは。ペレのサヨナラゲーム(※1)です」

(※1)ペレのサヨナラゲーム:正式名称は「ペレ・サヨナラゲーム・イン・ジャパン」。当時、北米リーグのニューヨーク・コスモスの所属していたペレの現役引退記念試合として、77年9月に国立競技場で開催された

――北米リーグのニューヨーク・コスモスが来日した、あの試合ですね? 私は当時、小学生でしたが、見に行きました(笑)

「このイベントは、もともとある音楽事務所が権利を持っていたんですが、日本サッカー協会から『フィギュアの世界選手権で実績のある電通に、間に入ってもらえるのならやってもいい』ということで、私らが取り組むことになったわけです。幸い、このイベントも大成功を収めました。あの時代は、まだ消防法の規制が甘かったということもありましたが、(会場となった)国立競技場には6万人以上の観客が詰め掛けて、本当に感動的でした。東京五輪以来の大記録ですよ。この成功が引き金となって、ゼロックス・スーパーサッカー(※2)が生まれ、ジャパンカップ(のちのキリンカップ)など、さまざまなイベントが生まれるわけです。こうした経緯もあって、スポーツイベントがビジネスとなることが社内でも認識されるようになったんですね」

(※2)ゼロックス・スーパーサッカー:1979年から90年にわたって開催された大会。現在ではJリーグチャンピオンと天皇杯優勝チームによる「ゼロックス・スーパーカップ」として有名だが、当初はトヨタカップ、ジャパンカップと並んで、海外のチームののプレーを日本で楽しめる、数少ない大会のひとつだった。

――ここで話をいったんまとめますと、電通がスポーツイベントに本格的にかかわるようになったのは、フィギュアの世界選手権からだったんでしょうか?

「昭和26年(51年)の民放ラジオの開局、2年後(53年)のテレビ放送の開始。このあたりからメディアとスポーツの関係がますます強くなって、電通としてスポーツ番組の買い切りや営業保証などで、まずプロ・スポーツとの関係ができました。それからイベントスポーツとか冠大会が始動するわけですが、でもアマ規定が厳しくてね。アマチュアスポーツの国際大会に本格的にかかわるようになったのが、この大会からでしたね。
 しかもこの時、国立競技場(オリンピックプール)に、初めてフェンス広告が掲出されるんです。これは、国際スケート連盟の強い要請によって実現したものでしたが、そういう意味でこの大会は、日本のスポーツビジネスにとって画期的な出来事でした。私自身、スポーツビジネスの国際化という点で、ずい分考えさせられましたよ」

<続く>

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