J2のFC岐阜が、チーム編成を行う強化部門のトップに名古屋グランパスの育成部門を束ねる松永英機テクニカルディレクター(49)を招聘(しょうへい)する。28日、薫田社長が松永氏と会談し、出向という形で大筋で合意に達した。松永氏は07年から09年までFC岐阜のヘッドコーチ、監督を務めており、今季21位に低迷したチームの再建を託す人材として白羽の矢を立てた。
就任要請した最大の理由は、松永氏がグランパスで発揮していた育成手腕だ。薫田社長は「彼の実力によるアカデミーの強化。地元からトップチームに人材を供給することが、岐阜サッカー全体のためになる」と説明。さらに「岐阜と愛知は距離が近いので、もっと交流があっても良かった。選手だけでなくスタッフの交流もやりたい」と、これを皮切りに積極的に両クラブ間の人材交流を行うことを明言した。
実質的な同盟関係の締結だ。FC岐阜にとっては、グランパスから有望な若手選手を積極的に期限付き移籍で獲得でき、少ない人件費で有効にチームを強化できる。スタッフ交流で育成や運営部門も充実し、愛知県からの集客も期待できる。
一方グランパスにとっては、若手の伸び悩みの原因だった公式戦不足を解消できる。来季は23歳以下の選手の下部リーグへの期限付き移籍期間が自由化されることもあり、チーム状況に応じて呼び戻すことも可能だ。久米GMは「いわゆる塩の道をつくるということ。岐阜さんが独力でしっかりとしたチームを編成できるようになるまで、力をお貸しするのはやぶさかでない」と説明した。
東海エリアのサッカー界を盛り上げるための、両クラブ「WIN−WIN」の同盟関係。グランパスの協力を受け、FC岐阜が再建を進める。
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