大手生保が自民・安倍発言に距離感、「政策評価は難しい」

2012年 11月 28日 15:35 JST
 
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[東京 28日 ロイター] 大手生命保険会社が28日午後、そろって2012年度中間決算を発表した。自民党の安倍晋三総裁が大胆な金融緩和や財政出動を示唆していることについて、出席した幹部からは「(自民党の政権公約を含め)評価は難しい」との声が目立った。

安倍総裁が2、3%の物価目標導入や無制限の金融緩和に言及し、金融市場が円安・株高に振れたことについて、明治安田生命の殿岡裕章副社長は、「市場は(安倍氏の発言に)一時的に反応した」と述べた。

一方で、殿岡副社長は「(民主、自民の)どちらになっても安定的なマーケット、中長期的な債務(削減の)ビジョンが必要」と強調。「今後もリスク抑制の運用方針に変わりはない。リスク性資産の削減と、公社債のデュレーションの長期化を続ける」と話した。

日本生命の松山保臣専務執行役員は「安倍総裁の発言と、自民党の政策をどう評価するかは難しい」との認識を示した。自民党が公表した政策と、発表される前の安倍氏の発言には、目指す物価上昇率の度合いや建設国債の買い取りの手法を巡って、微妙なズレが生じたためだ。

松山専務は「基本的には、経済のファンダメンタルズはあまり変わっていない。衆院選後はちょっと不透明だし、(株価が)一本調子で上がっていくという状況は見通しにくい」と言及した。そのうえで、「(日本国債や株、外貨建て資産などの)各資産とも、大きな変更はしない」と語った。

多くの生保は自社の財務状況を健全化するのにALM(資産・負債の総合管理)を進めている。住友生命の橋本雅博専務執行役員は「政権交代しても下期以降の運用が大きく変わることはない。今後もALMを推進し、着実に円金利収入を積み上げていく」と話した。

(ロイターニュース 山口貴也 編集 宮崎大)

 
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11月28日、大手生命保険会社は、そろって2012年度中間決算を発表した。自民党の安倍晋三総裁の金融緩和などに関する発言について、出席した幹部からは「評価は難しい」との声が目立った。写真は16日、都内で撮影(2012年 ロイター/Toru Hanai)
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