日本未来の党:緊急合流 戸惑う「生活」立候補予定者
毎日新聞 2012年11月29日 01時03分(最終更新 11月29日 02時21分)
衆院選に向けて滋賀県の嘉田(かだ)由紀子知事が27日に結成を表明した新党「日本未来の党」に合流する「国民の生活が第一」。小沢一郎代表は24日の段階で党名変更を見すえ、選挙ビラの印刷を一時中止するよう党内に指示していた。それでも選挙用ポスターの発注を済ませていた立候補予定者もおり、チラシ4万枚が「パーになった」と嘆く陣営も。公示1週間前の突然の決定に戸惑う声が上がっている。【斎川瞳、倉岡一樹、和田浩幸】
大阪2区から出馬を予定している前職の萩原仁氏(45)の事務所は街頭で配るチラシの準備作業を27日に終えたばかり。党名は「国民の生活が第一」のままで、陣営関係者は「4万枚が全てパーになった」と肩を落とした。
愛知4区で立候補を予定している前職の牧義夫氏(54)の事務所では、事務所開きの案内ビラの党名が書かれた部分に「未来の党」と印刷した紙を秘書が必死に貼り付けていた。先週末に予定していたポスターなどの印刷は党本部の指示で中止し、秘書は「これは何かあるなと思っていた」という。刷り直しはなくなったが「完成は公示ぎりぎりだ」。
岐阜1区で出馬を予定している前職の笠原多見子氏(47)の事務所では、生活の選挙ポスターの試作品が出来上がっていたが、作り直しが決まった。名刺やチラシも再発注。抜き打ち解散でもともと準備不足だった陣営に作業のやり直しは痛手といい、担当者は「注目度は上がったが、時間が足りない」と大わらわの様子だった。
「うちは『生活』のまま(選挙用ポスターを)発注してしまった」。生活の千葉県連代表で、千葉3区から出馬する前職の岡島一正氏(55)も生活の解党と未来への合流が決まった27日夜、あわてた表情を見せた。事務所は急きょ印刷をストップし、デザインも練り直したという。
小沢代表の元秘書で神奈川18区に出馬予定の前職、樋高剛氏(47)の陣営はポスターの用紙だけを先に発注し、28日に党名を書き換えたデザインでの製作を発注した。陣営関係者は「政党の離合集散が活発で、何があるか分からないと秘書らが『野生の勘』を働かせ、結果的にポスターを作っていなかったのが幸いした」と強調した。
東京14区から立候補予定の前職、木村剛司(たけつか)氏(41)の陣営担当者は「党名と候補者の顔をセットで覚えてもらうことが大事なのに、党名を改めて覚えてもらうには時間が足りない」と嘆いた。