千秋楽も白星で締めた横綱白鵬(27)の4場所ぶり、23回目の優勝で幕を閉じた。納めの場所で力士がかいま見せた表情もさまざまだ。
【横綱合格】 白鵬の顔にようやく笑みが戻った。横綱になってこんなに賜杯と無縁だったのは初めてだけに、喜びもひとしお。「けがやいろいろなことがあったけど、8カ月間、こういうことが来るって信じてやってきた。夢みたいといったら大げさだけど、いいもんだね」と目を細めた。
史上最多となる6年連続の年間最多勝も獲得したが、年間黒星14個は横綱1年目の平成19年に次ぐ多さ。一部でささやかれる限界説を完全には払拭できなかった。来年も厳しい闘いは覚悟しておいた方がよさそう。
【横綱失格】 16場所ぶりの2横綱で、場所前の話題を独占した新横綱の日馬富士(28)は、11日目から5連敗。先場所までの破竹の勢いが嘘のように、終盤は大きく崩れ白鵬の独走を許した。新横綱の5連敗は15日制になって初めて。横綱の勝ち星ひとけたも、平成11年九州場所の若乃花(3代目)以来だ。
「経験や勉強になった15日間だった。勝った相撲、負けた相撲、すべてがプラス。やるべきことはたくさんある」と巻き返しを誓う。
だが北の湖理事長は「横綱の成績じゃないよ。恥ずかしいと思わなくちゃ」と手厳しい。来場所は真価を問われることになる。
【三役合格】 去年より客足が増えたとはいえ、空席の目立った九州場所を1人で盛り上げたのがご当地、福岡県出身の松鳳山(28)。3大関を食い10勝で敢闘賞を受賞し、来場所の新三役昇進も決定的にした。本人にとっても、平成2年創設の松ケ根部屋にとっても初三賞で、三役だ。
「受賞はツイッターで知りました。これで記録に名前が残る。賞金(200万円)はそっくり貯金しますよ」と、いまどきの若者らしい。師匠の松ケ根親方(元大関若嶋津)も「まさかこんなに活躍するとは。最高の千秋楽になりました」と声を弾ませた。(大見信昭)