■ 影響多大、再発防止を―室蘭の企業が操業停止相次ぐ
【2012年11月29日(木)朝刊】


 27日から28日にかけての西胆振地方の断続的停電は、室蘭市内の製造業や金融機関など多くの企業に業務中断を余儀なくさせた。医療機関も外来診療を休診したり、診療を限定した。停電と復旧が繰り返された2日間、企業などからは再発防止策を求める声が聞かれた。

 日本製鋼所室蘭製作所(茶津町)は、27日午前8時40分の停電から28日午前5時40分の復旧まで、1日近く操業がストップした。通電後、全製造設備を順次稼働させた。同所では「製造設備に損害がなくてホッとしている。予測していなかった事態であり、日ごろの備えが必要と感じている」と語った。

 中島本町の西野製作所も27日は終日、製造業務を行えなかったが28日午後には全面再開にこぎ着けた。「われわれが普段、いかに電気に依存しているのかを知った」と西野義人社長。「電力会社は二重、三重の送電網を設置するなど災害を想定したバックアップが必要では」と再発防止を求める。

 東町のアオキ製作は27日に続いて28日も社員を午前中に帰宅させたが、正午すぎの復旧を受け、急きょ呼び戻して業務を行った。青木誠一社長は「電気の重さ、大切さを痛感した」としつつ「北電はもう少し情報を公開してほしかった」と本音を漏らす。

 室蘭信用金庫は27日に大半の市内店舗で通常営業ができなかったが、28日は午後の復旧後に全11店舗の営業を再開した。同信金は「システムが停止するたび、通電後に正常に立ち上げる作業を慎重に行った」と話している。

 一方、自家発電設備を備えている新日鉄住金室蘭製鉄所、JX日鉱日石エネルギー室蘭製油所には停電の影響は特になかった。

 医療機関では、市立室蘭総合病院(山手町)と日鋼記念病院(新富町)が27日に外来を休診したが、28日午前から診療を再開した。

 「市立」は臨時診療として、27日の予約者と28日の外来者を受け入れたが午前中の停電時以降、来院者の了解を得て予約を打ち切った。「日鋼」は非常用電源装置で対応。一部の診療機能を取りやめて診療した。

 「日鋼」に通院する高橋寅蔵さん(75)=海岸町=は「本当は27日に来たかったが。まずは薬をもらえ良かった」と安ど。一方で透析患者の女性(67)=母恋南町=は「蘭東には自家発電で透析できる病院がない。早く完全復旧して」と願った。

 また、室蘭市内のガソリンスタンド(GS)も混雑。停電の影響で27日午後に閉店した北海石油室蘭給油所(幸町)には28日朝からドライバーが詰め掛けた。
(山田晃司、奥村憲史)




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