中国:「一人っ子政策」見直しか
毎日新聞 2012年11月28日 20時47分(最終更新 11月29日 01時18分)
【北京・井出晋平】28日付の中国の英字紙「チャイナ・デーリー」は、中国政府が「一人っ子政策」を緩和する可能性があると報じた。都市部の夫婦に第2子の出産を認めることを軸に調整しているという。中国は1979年に始めた一人っ子政策の影響で、急速な高齢化や生産年齢人口の減少に直面。これまでも見直しを求める声が上がっており、今月発足した習近平指導部が今後、政策見直しに踏み切るかどうかが注目されそうだ。
中国人民政治協商会議(政協)人口資源環境委員会の張維慶(ちょういけい)主任が同紙に語った。中国では現在、両親がいずれも一人っ子だった場合などは第2子の出産が認められている。同紙によると、両親が一人っ子でなくても第2子の出産を認めるよう検討しているという。張主任は「政策変更は地域間の違いを考慮し、段階的に行われるべきだ」と話し、高齢化の進展などで人口構成の急激な変化に直面している都市部で先行実施されるとの見通しを示した。
中国の合計特殊出生率は1.7で、人口維持の適正水準とされる2.1を下回っている。張主任は「理想的な水準は1.8程度」と指摘。「緩和しても急激な人口増は起きないだろう」としている。
中国では、25年に60歳以上の人口が3億人を突破すると予想されている。一方で、生産年齢人口(15〜64歳)は15年をピークに減少に転じるとみられており、豊かになる前に高齢化が進む懸念が高まっている。
今月開かれた第18回党大会の政治報告では、「低出生レベルの維持」という文言が消え、「人口の長期にわたるバランスのとれた発展を促す」という表現が盛り込まれた。そのため、習近平指導部が政策見直しに動くとの観測も出ている。